西東京市多文化共生センター
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     NIMIC通信 No.106(2015年4月号)
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┏ [11] キーワードを読む
     「多文化共生」について理解を深めるために(100)
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 NIMIC設立の理念のなかで大きなウェートを占める「多文化共生」。この言葉をキーワードに、2006年9月号から多文化共生に関わる本の紹介を始めました。
 第100回目の今回は、児童文学作家であり、また文化人類学者である上橋菜穂子さんのエッセイです。


 「明日は、いずこの空の下」 上橋菜穂子著 2014年9月 講談社


 このエッセイは、上橋さんが初めて外国へ行った高校のイギリス研修旅行に始まり、文化人類学のフィールドワークとして滞在したオーストラリアのアボリジニ文化との出会い、お母様との観光旅行などの異国体験がつづられています。
 異文化研究のプロであり、また最高のストーリーテラーである方の文章は実に面白いので、是非お読みください。

 上橋菜穂子さんは児童文学もたくさん書いており、昨年3月国際アンデルセン賞作家賞に選ばれました。
 この賞は子どもの本のノーベル賞(Little Nobel)とも言われ、2年に一度、世界の70ヶ国以上が参加する国際児童図書評議会(IBBY)によって、作家と画家が各1名選ばれます。
 日本から、作家賞は1994年にまどみちお(詩人)が受賞しています。
 今回の受賞には上橋さん自身驚いたそうです。
 歴代の受賞者はまどさん以外はみな欧米系の方ばかりだし、上橋さんの作品はみな分厚くて冊数も多い。
 外国語に翻訳されていると言っても、世界11ヶ国から集まる審査員がそれらを全部読んで審査することは難しいだろうと思ったから。
 受賞が決まって、びっくり! 9月のIBBY世界大会で賞を受け、イランなど世界各国の審査員みんなから「おもしろかった!」と言われたことがとてもうれしかったそうです
 上橋さんの作品は『守り人・旅人シリーズ』(偕成社、12冊)『獣の奏者』(講談社5冊)『孤笛のかなた』(理論社)などがあります。
 『獣の奏者』は挿絵なしで1巻約480頁が5冊という大作ですが、英語の他に仏、独、スウェーデン、韓国、タイ、台湾で翻訳出版されているそうです。
 文句なしに面白い本でありますが、翻訳者の方々もえらい。
 ご苦労様でした。
 アニメ・マンガ・映画など分かりやすい所から知られていった日本文化ですが、やっと児童文学まで風が吹いてきたようです。
 日本の児童文学には、ファンタジー以外にも様々な題材、テイストの作品がたくさん出版されていて、面白い作品がいっぱいあります。
 これを機に、ほかの本も世界に紹介されるといいですね。
  (NIMIC会員 根本 百合)


 
 
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