西東京市多文化共生センター
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     NIMIC通信 No.110(2015年8月号)
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┏ [12] キーワードを読む
     「多文化共生」について理解を深めるために(104)
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 NIMIC設立の理念のなかで大きなウェートを占める「多文化共生」。 この言葉をキーワードに、2006年9月号から多文化共生に関わる本の紹介を始めました。
 第104回目の今回は、日本の哲学者が書いた子ども向けの本です

「わたしが外人だったころ」
 鶴見俊輔文 佐々木マキ絵 (初出「たくさんのふしぎ」1995年7月号) 福音館書店 たくさんのふしぎ傑作集として2015年出版
  
 著者は16~19歳の4年間(1938~1942年)アメリカで過ごしました。
 ハーヴァードに入って3年目に、日本とアメリカの間で戦争がはじまります。
 ハーヴァードでただ一人の日本人学生だった著者は、ドイツ人やイタリア人とともに移民局付属の留置場に入れられて取り調べを受けたのち、交換船に乗り日本に帰国しました。すぐに徴兵検査を受けさせられて海軍に入隊、ジャワで軍務につきますが、胸部カリエスが悪化して日本へ帰され、病床で敗戦を迎えます。「日本が戦争に負ける時、負ける国にいたい」という思いで交換船に乗ったのですが、戦争中の日本でずっと日本人を外人と感じて過ごしたそうです。哲学的な表現ですが、著者は16歳でアメリカに行った時から死ぬまで、常に自分自身のうちに外人を感じながら生きたのかなと思います。
 当時は稀な体験だったわけですが、約80年を経て社会状況も変わりました。私たち一般的な日本人も、みなこれに近い感覚を多少とも感じているのではないでしょうか。手軽に海外旅行ができ、また最近は大勢の外人観光客を日本に迎えて。そして、日本語ボランティアの場では、理解しあえる嬉しさと思いがけない感覚の違いなどを感じて・・・。
 この本は「たくさんのふしぎ」1995年7月号としてつくられましたが、今年単行本として再び出版されました。
   (NIMIC会員 根本 百合)


 
 
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