西東京市多文化共生センター

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   NIMIC通信 No.143(2018年7・8月合併号)
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┏ [10] キーワードを読む
  「多文化共生」について理解を深めるために(137)
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 NIMIC設立の理念のなかで大きなウェートを占める「多文化共生」。
 この言葉をキーワードに、2006年9月号から多文化共生に関わる本の紹介を始めました。
 第137回目の今回は、イスラームについての児童書の4冊シリーズです。

イスラームってなに?       長沢栄治監修 かもがわ出版
 シリーズ1 イスラ-ムのおしえ 後藤絵美著 2017年9月
 シリーズ2 イスラ-ムのくらし 鳥山純子著 2017年11月
 シリーズ3 イスラ-ムとせかい 勝沼 聡 著 2018年1月
 シリーズ4 イスラ-ムのいま  平井文子著 2018年3月

 書名がひらがなになっていますが、これは実は意味不明で、本文は一般書なみに漢字が使用されていて、全漢字に振り仮名がついています。
 学校図書館や公立図書館などに是非備えて欲しい本ですが、小中学生の調べ学習だけでなく、広く大勢の方に読んで欲しい本です。
(1)はイスラムの教え(コーラン、お祈り、断食など)について書かれており、正直私にはよくわからない部分です。が、(2)から(4)は非常に面白く読めました。
(2)ではインドネシア・エジプト・日本・アメリカで暮らす4人のイスラームの小・中学生を取り上げ、食事や衣服、日々の暮らしを紹介しており、大変身近に感じました。
(3)では、7世紀に登場したイスラームが、世界の中でユダヤ教やキリスト教と時には戦いながらも共存し、広がっていく様子と、イスラーム内部にも意見の違いが生じて枝分かれする過程が描かれています。
イスラーム世界の共通言語であるアラビア語の存在とメッカ巡礼により社会の交流がはかられたことなど、なかなか面白いです。
(4)では1970年代以降のイスラーム復興が紹介されています。
石油からの莫大な収入などで、イスラーム諸国は急速な経済発展を遂げました。
教育が普及し生活水準も上がり、女性も仕事を持ち、社会の在り方も変化しました。
西欧の科学技術や軍事力、経済力の前に自信を失い西欧化していたイスラームが、イスラーム本来のものの考え方や社会の在り方を見つめなおしはじめたのです。
ハラール食品の普及、ハラール観光、モスリム・ファッションなどがその表れです。インドネシア女性の声や、映画や漫画の紹介も交え、面白く読ませてくれます。

 現在のイスラーム人口は約16億人で、世界人口の20-25%ですが、今後さらに増加することでしょう。
 日本に住む人々は11-18万人だそうですが、最近は旅行者も多く、日常的にモスリム・ファッションの方を見かけるようになりました。
 こんなに丁寧に深くイスラームを紹介した児童書が出版されるのも、子どもたちにも身近になりつつあるからなのでしょう。
 各巻の巻末に、参考図書リストがありますので、更に詳しく知りたい方は、ご活用ください。
    (NIMIC会員 根本百合)





 
 
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