西東京市多文化共生センター
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     NIMIC通信 No.82(2013年3月)
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┏ [7] キーワードを読む
       「多文化共生」について理解を深めるために(77)
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 NIMIC設立の理念のなかで大きなウェートを占める「多文化共生」。 この言葉をキーワードに、2006年9月号から多文化共生に関わる本の紹介を始めました。
 第77回目の今回は、文化大革命の時代を紅衛兵の一人として体験した方の自伝です。

 『私の紅衛兵時代 ―ある映画監督の青春―』
 陳凱歌(チェン・カイコ-)著 刈間文俊訳 講談社現代新書 ¥740

 著者は1952年に北京の映画人の家に生まれました(父は映画監督、母も映画シナリオの編集者)。中学1年が終わった1966年の夏休みに文化大革命が起きると、紅衛兵と呼ばれる若者たちのエネルギーの衝撃はすさまじく、既存のものを破壊していきました。
 共産党幹部、親世代の人々、教師、そして若者たち自身もみな批判の対象となり、無傷の人はほとんどいない、みなが被害者の状態でした。若者たちは、加害者になったと同時に被害者でもあり、さらに文化大革命の収束に当たっては知識青年として僻地の農村や軍隊に下放され、1976年に毛沢東が死ぬまで、都会に戻ることができませんでした。
 この時代を、その渦中で体験した本人が描いた本です。習近平氏も1953年生まれで下放を体験していますし、今中国の様々な分野で中心的役割を果たしている人々の多くが、この世代です。
 著者は北京に戻ったのち、北京電影学院監督科を卒業し、数多くの映画を作り、現在は海外でもたくさんの賞を受賞し高く評価されています。

 主な作品:「黄色い大地」、「大閲兵」、「子どもたちの王様」、「さらば、わが愛/覇王別姫」「北京ヴァイオリン」等

 この本はニューヨークに住んでいた時に、日本の出版社の依頼によって書かれたそうで、1990年に日本で出版されたのち、フランスや台湾でも出版され、中国では2001年に『少年凱歌』という書名で出版されたそうです。
   (NIMIC会員 根本 百合)


 
 
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