西東京市多文化共生センター
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     NIMIC通信 No.89(2013年11月号)
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┏ [11] キーワードを読む
    「多文化共生」について理解を深めるために(84)
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 NIMIC設立の理念のなかで大きなウェートを占める「多文化共生」。 この言葉をキーワードに、2006年9月号から多文化共生に関わる本の紹介を始めました。
 第84回目の今回は、芥川賞候補にもなった小説家の新作長編を
ご紹介します。

 「不法愛妻家」  デビッド・ゾペティ著 新潮社 2012年8月

≪あらすじ≫
 イタリアの美しい島で生まれ育ったファブリは、大学で日本語と貿易を学び日本へ留学、大手企業の初の外国籍正社員となりました。
 ある年不注意からビザの更新を失念、「不法滞在者になってしまった!」と真っ青になって駆け付けた出入国管理局の審査官がなんと見覚えのある女性。その大阪人の女性を口説き落として一緒に暮らし始め、やがて結婚、4人の子どもに囲まれる40歳過ぎまでの日々を描きます。
 「ファブリは・・・」と三人称形式で書かれていますが、中身はイタリア人男性の目線で見つめる日本の会社員生活、女性、夫婦生活、子育てなど。

 40代、4児の父になっても妻を見つめ続け、自分自身の幸せを追求していく姿勢はすごい!!「熱く生きる男」という感じです。それに対する妻の和泉(いずみ)は、美人だけどしっかりはっきりした猛烈女性として描かれています。
 作者はスイス生まれ。曾祖父母まで遡るとイタリア人、アメリカ人、ウクライナ人、イラク人、ポーランド人がいる自称「純粋の混血」とのこと。
 ドイツ語、フランス語、イタリア語、英語、日本語をあやつるマルチリンガルです。漢字がお好きなようで、日本人作家の小説よりも難しい漢字が使ってあったりもします。

≪他の作品≫
 「いちげんさん」集英社:すばる文学賞受賞
 エッセイ集「旅日記」集英社:第50回日本エッセイスト・クラブ賞受賞
 「アレグリア」集英社、「命の風」幻冬舎
   (NIMIC会員 根本 百合)


 
 
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