西東京市多文化共生センター
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     NIMIC通信 No.19(2007年11月)
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┏ [8] キーワードを読む~「多文化共生」について理解を深めるために⑮
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 NIMIC設立の理念の中で大きなウェートを占める「多文化共生」。この言葉をキーワードに、2006年9月号から多文化共生に関わる本の紹介を始めました。
 15回目の今回は、西東京市図書館にある児童書から2冊ご紹介します。
 児童書は子どもの読むもの、自分には関係ないと思っている大人の方はいらっしゃいませんか?良質な児童書は良質な文学であり、児童から大人まで、読む人の心に感動をもたらします。しかも字が大きくて読みやすく、難しい漢字には振り仮名が付いていて、漢字に弱い人でも読みやすいという「すぐれもの」です。
 今回、財団法人日伯経済文化協会の献本事業により各1冊ずつ寄贈をうけ、図書館が2冊追加購入しました。日伯経済文化協会は敗戦後の日本への義捐金の受け皿として設立された外務省所管財団(初代会長は幣原喜重郎氏)だそうです。

『ブラジルの大地に生きて―「日系移民の母」渡辺トミ・マルガリーダの生涯―』
  藤崎康夫作 くもん出版 1998

 11歳でブラジルへ渡ったトミ。第一次世界大戦、金融恐慌、満州事変、太平洋戦争、そして日本の敗戦・・・激動する世界情勢の中で、日系移民たちは様々な困難に直面します。言葉がわからず孤立する日系人とブラジル社会の架け橋として、活躍を続けたトミの一生が描かれます。
 ブラジルの日系移民というと大変な苦労をした方々という程度の認識しかありませんでしたが、当事者の側から描いたこの本を読んで、実にさまざまなことがわかりました。
 言葉がわからず孤立するというのはどういうことか。
 日系人社会が日本の敗戦を理解する人々(まけ組)と日本の勝ちを信じる人々(勝ち組)の二手に分かれ、なんと23名が殺され86名が怪我をする事態にまで立ち至ったこと。
 敗戦時の日本国内の惨状に対し、ブラジルの日系社会が衣類や食糧の救援物資と寄付金を集めて送ってくれ、その一部は終戦直後の日本の学校給食にも使われたことなど・・・。
 振り仮名があり小学校高学年くらいから読めますが、日本とブラジルの歴史がよくわからないという日本の大人の方にもぜひ読んでいただきたい本です。下保谷・芝久保・柳沢図書館の児童コーナーに各1冊ずつあります。

『はまの大きな大きな樹―ブラジルに渡った少女のものがたり―』
  弓場勝重作 二宮法律事務所出版協賛 1987

 15歳でブラジルに渡った少女はまが、ブラジルで成長していく様子を描いたこの本は、ごく薄いパンフレットのような本です。左右の頁で日本語とポルトガル語の対訳になっていますので、この二ヶ国語を勉強中の方や、ポルトガル語の文章を読みたい方におすすめです。小学校中学年以上大人まで。柳沢図書館ヤングアダルトの書棚にあります。            (NIMIC会員 根本 百合)

 
 
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