西東京市多文化共生センター
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     NIMIC通信 No.33(2009年1月)
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┏ [9] キーワードを読む
    「多文化共生」について理解を深めるために(29)
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 NIMIC設立の理念の中で大きなウェートを占める「多文化共生」。この言葉をキーワードに、2006年9月号から多文化共生に関わる本の紹介を始めました。
 29回目の今回ご紹介する本は、アメリカから日本に戻ってきた少女の本です。

 『小学生日記』   hanae*  角川文庫  ¥438 2005年
               (2003年単行本出版)

 作者は、1991年にニューヨークでアメリカ人の父と日本人の母の間に生まれましたが、6歳のとき母と帰国、日本の小学校に入りました。
 10歳からはファッション誌のモデルとして活動、2003年には女優デビューしてTVCFにも出演。現在は華恵(はなえ)の筆名・芸名で活躍しており、他にエッセイ4冊が出版されています。
 作者は小学校3・4・5年生のときに、読売新聞社主催の全国小・中学生作文コンクールで3年連続受賞しており、天才作文家と賞賛されました(2000~2003年の第50~52回)。その3作品に13話を加えて本書が誕生。題材は身の回りのこと、母、兄、家族旅行、おばあちゃん、友達、塾、移動教室など。小学生の生活を小学生の目線で本人が描いたという稀有な本で、小学6年生のときに出版されています。しかし、たかが小学生の作文とあなどることなかれ、心に響くすばらしい内容です。
 第2話「モトイと日本語」(小4の受賞作)は、兄のモトイが日本へ来て中学校へ入り日本語を勉強し日本社会で暮らす努力を描きますが、小3の妹hanae*は自身の体験も下敷きにして限りなくモトイ本人に近い目線で見つめています。この1作はもちろんのこと、この本のすべてに感じられるのが、小学生hanae*さんが持つ観察力、目線、そして物の考え方の奥行きの深さです。これらは、多文化を往き来して、多様な価値観、多様な社会を経験しつつ多くの人々とふれあいながら育った中で培われたものではないでしょうか。まだまだぐいぐいと成長を続ける華恵さんの将来はどんなふうに・・・楽しみです。
 
 アメリカ人の体型と卓越した日本語文章力を併せ持つ作者のことを考えていたら、紅白歌合戦にジェロが登場・・・多文化共生社会って・・・日本の将来は面白くなりそう!?
  (NIMIC会員 根本 百合)



 
 
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