西東京市多文化共生センター
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     NIMIC通信 No.46(2010年2月)
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┏ [8] キーワードを読む
    「多文化共生」について理解を深めるために(41)
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 NIMIC設立の理念の中で大きなウェートを占める「多文化共生」。この言葉をキーワードに、2006年9月号から多文化共生に関わる本の紹介を始めました。
 41回目の今回は、エッセイをご紹介します。

『本を読むわたし』   華恵著 筑摩書房 2006年7月 ¥1,050

 著者は1991年ニューヨークでアメリカ人の父と日本人の母の間に生まれ、マンハッタンで多様な人々の中で育ち、6歳で母と日本へやってきました。
 小学生の時に書いた作文をまとめた本『小学生日記』は前にご紹介しましたが、この本は中学生の時に書いたエッセイをまとめたもの、その後も16歳、17歳、18歳と3冊のエッセイが出版されており、どれも深い思いが素直に伝わってくる良質なエッセイです。
 非常に本が好きな人で、14冊の本を取り上げて、それにまつわる記憶をつづっています。 兄・両親とともに過ごしたマンハッタン時代が多いのですが、オクラホマの父方の祖父母の暮らし、ハーレムの黒人街、福島の母方の祖父母の暮らし、そして東京の小学校の友達など、彼女を取り巻く人々をとても真っ直ぐに見詰めて受け止めていく目線が、すばらしいです。
 心身の発達が著しい中学生時代、特に異なる文化圏を行き来して多くの刺激を受け、様々な疑問や思いや考えなど胸の中に渦巻いているものを、この著者は文章に書くことで整理・発散して成長していくように見えます。
 おかげで、私たちは多文化環境に育った本人の言葉で、その気持ちの一端を知ることができました。もしこの著者がこれらを表現する手段を持たなかったら、さぞ苦しかったのではなかろうかと思いました。日本語ボランティアの場で接する子どもたちの発する言葉やサインに、しっかり耳を傾けて行きたいと思います。

 〈他の著作〉
 『ひとりの時間』『キモチのかけら』『寄りみちこみち』華恵著 すべて筑摩書房
 
     (NIMIC会員 根本 百合)



 
 
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