西東京市多文化共生センター
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     NIMIC通信 No.55(2010年11月)
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┏ [10] キーワードを読む
    「多文化共生」について理解を深めるために(50)
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 NIMIC設立の理念の中で大きなウェートを占める「多文化共生」。この言葉をキーワードに、2006年9月号から多文化共生に関わる本の紹介を始めました。
 第50回目は、前回に引き続きアフガニスタン難民支援の本ですが、今回は一般書(大人向け)です。

『人は愛するに足り、真心は信ずるに足る 〜アフガンとの約束〜』
中村哲・澤地久枝(聞き手)著 
岩波書店 2010年2月 ¥1900

 医師でありクリスチャンである中村哲氏は、1984年パキスタン北西部の町ペシャワールにある病院に派遣され、ハンセン病棟の担当となりました。以来今日までの26年間、パキスタンとアフガンにまたがるこの地域で、独自に様々な活動を続けてきました。
 赴任当初はソ連進攻の最中であり、患者の多くは劣悪な条件にあるアフガン難民。病院を離れ、アフガン山岳部でハンセン病中心に医療全般に従事する中で、2000年の大干ばつを体験します。きれいな水があれば感染症で命を落とさなくて済む子どもたち、水があれば故郷で耕作して難民とならずにすむ人々を見て、中村医師の活動は医療から水利事業にまで発展しました。なんと1400の井戸を掘り、水路を造り、現在では3000ヘクタールの土地が緑野に戻ったということです。
 2008年の伊藤和也氏の死亡事件のあと現地の日本人スタッフは中村医師一人、あとはアフガン人スタッフで活動しています。これらすべての活動が「ペシャワール会(※)」を通じて日本人の寄付で支えられています。これらの活動で、マグサイサイ賞「平和と国際理解部門」をはじめとして数多くの賞を受賞しています。
 中村医師本人による著作も数多くありますが、本書はドキュメンタリー作家澤地久枝さんのインタビュー形式でこれまでの活動全体をまとめてあります。最新の活動報告でもあり、今年2月の出版以来版を重ねています。
 ※中村哲医師の活動を支援することを目的としたNGOで、ホームページがあり、講演会や写真展などの情報も載っています。「ペシャワール会」で検索してください。
  (NIMIC会員 根本百合)



 
 
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