西東京市多文化共生センター

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   NIMIC通信 No.36(2009年4月)
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もくじ
[1] 事務局より「NIMIC総会のお知らせ」
[2] 事務局より「2009年度会費納入のお願い」
[3] 事務局より「多言語全体拡大ミーティング開催のお知らせ」
[4] 留学生ホームビジット 受け入れ家庭募集!
[5] イベントお知らせ「二胡体験講座」
[6] 報告「西東京市多文化共生センター開所式」
[7] 西東京市多文化共生センター窓口だより〜多文化の最前線〜
[8] 会員より「MIA主催『外国人による日本語スピーチ大会』」
[9] 会員より「坂の街・テグシガルパの窓から(22・最終回)」
[10] 世界の国々・人々 〜忘れられない旅(23)
[11] キーワードを読む〜「多文化共生」について理解を深めるために(32)
[12] 2009年度・今後の事業予定
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┏ [1] 事務局より「NIMIC総会のお知らせ」
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 NIMICは昨年10月1日に、ボランテイア団体から特定非営利活動法人
(NPO法人)として新たなスタートを切りました。
 NIMICの2009年第1回通常総会を下記のとおり開催しますので、会員の
皆さんはぜひご出席ください。
 また、総会終了後には、NIMICの代表理事で武蔵野大学大学院教授の
佐々木瑞枝先生によるミニ講座と懇親会を開催しますので、あわせて
ご参加ください。

■NIMIC2009年第1回定常総会
開催日時 2009年5月10日(日) 午後1時30分〜2時10分(予定)
開催場所 武蔵野大学7号館 5階会議室
  アクセスマップ
  http://www.musashino-u.ac.jp/ao_extension/access_map/index.html
 キャンパスマップ
  http://www.musashino-u.ac.jp/ao_extension/campus_map/index.html#campus
議案
・2008年度事業報告、収支決算報告、監査結果報告
・2009年度事業計画案、収支予算案、役員選出

■佐々木瑞枝先生によるミニ講座
 午後2時10分〜2時40分(予定)
 「留学生と見た日本語」 助詞って、どう教えると効果的?

■懇親会
 午後2時40分〜3時10分(予定)

 多くの会員の皆さんにご出席いただきますよう、よろしくお願いします。

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┏ [2] 「2009年度会費納入のお願い」
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 平素はNIMICの活動にご支援・ご協力いただき、誠に有難うございます。
 NIMICも設立から4年目、新たに「西東京市多文化共生センター」窓口の
運営も任されることとなり、活動の幅もさらに広がってきているところです。
 
 NIMICの活動は、皆さまお1人お1人のご支援に支えられています。
 2009年度会費の納入を、下記の口座によろしくお願い申し上げます。
 お1人の個人会員から家族会員に移行される方は、会員番号が変わり
ますので、その旨事務局へご連絡ください。
 家族会員は ご夫婦と18才以下のお子様が対象です。それ以外の方は、
個人会員でのご登録をお願いいたします。

 口座名はいずれも「NPO法人 西東京市多文化共生センター」です。
1.みずほ銀行ひばりが丘支店 普通預金口座  2386979
2.三菱UFJ銀行田無支店    普通預金口座  0034665
3.保谷郵便局        郵便振替口座  00170−5−585196

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┏ [3] 事務局より「多言語全体拡大ミーティング開催のお知らせ」
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 NIMIC多言語部会では、「語学ボランティア登録制度」を設けています。
 語学ボランティアの皆さんのご協力のもと、現在市報抜粋版の
多言語版(やさしい日本語ルビ付き、中国語、韓国語、英語)の作成、
その他西東京市の資料(図書館の利用案内、ゴミ資源について、児童館
利用方法など)の翻訳などの協力を行っています。
 一方、2月にイングビル1階に「西東京市多文化共生センター」が
プレオープンしたことを受けて、窓口に外国語のできるボランティアの
配置が望まれています。また、情報伝達手段として有効なNIMICの
ホームページの多言語化も手つかずの状態です。
 以上の状況下で、さらに協力者を増やしていく必要がありますので、
NIMIC会員の皆さまでご協力いただける方、ご興味のある方は、ぜひ
ご参加ください。
 資料の準備の都合がありますので、ご参加いただける方は、
info@nimic.jp 宛てご連絡ください。

日時 4月11日(土)午前10時〜12時
場所 市役所田無庁舎203会議室
内容
(1)2008年度活動報告
(2)2009年度の活動に向けて話し合い
  ・ホームページの多言語化
  ・センター窓口での対応

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[4] 留学生ホームビジット 受け入れ家庭募集!
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 現在、西東京市とその周辺にはアジアからの留学生を中心に、世界各国の
留学生が住んでいます。NIMICでは、近隣の大学の留学生と楽しく交流できる
「第3回ホームビジット」を企画しました。
 留学生にとっては日本のふだんの家庭を体験できるまたとない機会となり、
市民の皆さんにとっては異文化を体験する良い機会になり、そこに楽しい
交流が生まれることを目的としています。
 留学生を一日お宅に招いてくださる受け入れ家庭を募集します。
 受け入れを希望される方は、「受け入れ家庭説明会」にご出席ください
(当日直接会場へ)。

◆受け入れ家庭説明会
 日時:2009年4月25日(土)午前11時〜12時
 会場:西東京市役所田無庁舎 202・203会議室

◆ホームビジット実施日
  6月21日(日) 午前11時  田無庁舎で対面
            午後6時まで  各家庭に滞在
            午後6時30分〜8時 合同パーティー(田無庁舎食堂)

※この事業は、西東京市の「NPO等企画提案事業」に採用されています。

※2009年度は、「留学生との世代横断的交流」として、7月30・31日に
小学生と留学生の多文化ワークショップも企画しています。

★ 昨年の「留学生ホームビジット」の様子は、NIMICのHPでご覧いただけます。
  →→→ http://www.nimic.jp/jpn/event/080615ryugakusei_visit.html

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┏ [5] イベントお知らせ「二胡体験講座」
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 昨年10月に引き続き、中国の民族楽器「二胡」の体験講座を開催します。
 NIMIC会員の皆さんは、会員料金でご参加いただけます。この機会に、
中国の二胡にふれてみませんか。

日時:2009年5月17日(日)
   第1回 午前10時〜12時、第2回 午後2時〜4時
場所:イングビル1階 西東京市多文化共生センター
   (市役所田無庁舎隣 西東京市南町5‐6‐18)
参加費:二胡レンタル料として1,000円(NIMIC会員は500円)
定員:各回10人程度  ※定員を超えた場合は抽選
申込と問合せ:5月1日(金)から9日(土)までに、電話またはFAXで
  担当 今岡 電話&FAX 042‐422‐5356
  ※FAXには必ず氏名・電話番号を記入してください。

参加決定した方には、5月11日にご連絡します。

★昨年の「二胡体験講座」の様子は、NIMICのHPでご覧いただけます。
 →→→ http://www.nimic.jp/jpn/event/081012nikokouza.html
 
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┏ [6] 報告「西東京市多文化共生センター開所式」
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 2月からプレオープンという形で運営してきた「西東京市多文化共生
センター」が、正式に運営開始するにあたり、4月1日(水)午後2時30分から
坂口光治西東京市長出席のもと、開所式が行われました。
 はじめに、坂口西東京市長、NIMIC佐々木代表理事、スピーチのため
来所してくれた中国人中学生によるテープカット、市長と代表との間で
センター運営の委託契約書の取り交わしが行われました。
 市長からは、「これまで、市にはこのような施設がなかったが、市内に住む
外国人も3千人以上住んでいる現状から、内なる国際化を進めるためにも
必要だと考え、このセンターを設置した。運営をNIMICに委託したが、
これまでの活動実績の上に、ここを多文化共生のために協働する
活動拠点として、また情報発信基地として発展させてほしい」との挨拶を
いただきました。
 次に、佐々木代表理事が、これまで続けてきたさまざまな活動に協力を
いただいたお礼や、ここで日本人・外国人が市民として、ともに理解しあう
多文化共生の地域をつくりあげるために、市とも協働して、外国人のための
相談事業をはじめ様々な事業を行い、さらに活動を充実していきたい旨の
挨拶をし、ご出席いただいた来賓、国際ソロプチミスト東京−西会長、
西東京市茶道華道文化協会会長をご紹介しました。来賓からはお祝いと
国際交流の機会などに連携して活動しましょうという嬉しいメッセージを
いただきました。
 セレモニーは、中国から来日して1年半、市立中学3年生になった劉君に
よる上手な日本語でのスピーチで締めくくられました。劉君のスピーチは、
中国の小学校での体験から、常に感謝の気持ち、ありがとうという言葉を
大事にしている。今、日本語を習っているNIMICのボランティアさんにも
ありがとう、というものでした。
 続いて懇談会に移り、ソフトドリンクで乾杯し、談笑の合間に、これまでの
活動を紹介するスライド映写や、二胡の演奏を楽しみ、4時前にお開きと
なりました。
 広くはないセンター内ですが、活気がみなぎり、これからの活動が活発に
行われる予感を感じる開所式でした。
 当面、開所日は、月・水・金曜の3日ですが、ここを会場として、
二胡講座など主催事業も行っていきます。ぜひ一度覗いてみてください。

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┏ [7] 西東京市多文化共生センター窓口だより〜多文化の最前線〜
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 2月からの「西東京市多文化共生センター」の仮オープンにあたり、理事の
1人として金曜日を担当することになりました。まだペンキの匂いも消えぬ、
イングビル一階の明るいオフィスで、午前10時から午後4時までの当番です。
準備の段階から、市の職員の方々の大変な熱意も感じることができ、これは
いよいよ本格的なセンターになると期待も膨らみました。昨今はセンターに、
NIMICの会員の方々の出入りも急に増えました。
 実際のところ、自分は法律や労働問題に詳しいわけでもなく、中国語・
韓国語が話せるわけでもないのですが、年の功と、日本語教師の経験も
若干はあるので、片言の日本語で対面すれば、相談員として、相手の悩み
ぐらいはつかめるものと安易に考えていました。が、これが難しいことに
気づかされました。
 この2ヶ月で4、5人の外国人の方が相談に訪れましたが、全員来日数ヶ月、
言葉が通じないためすっかり自信をなくした様子の人もいて、その昔、初めて
外国暮らしをしたときの自分を思い出したりしました。
 こちらの質問や確認のしかたが悪いこともあってか、通じているとばかり
思っていたのに1時間も経ってから全く違う悩みであることがわかったり、
「暇とお金が出来たから、日本語学校を紹介してくれ」だとばかり思っていたら、
「アルバイトはクビになった、当分暮らしていく金はあるので、ただで
毎日学べる日本語教室を紹介してくれ」ということだったり、何十分話して
いても来訪の目的が分らず、最後はお隣の楊理事に中国語で通訳を
お願いし、結局、就職口を紹介してくれということだったり・・・。
 本当は、ただハローワークの場所を教えるだけではなく、現下の就職
事情の厳しさなどの日本の事情にも少しは触れたいところですが、とても
そこまでは言葉が通じないのが現実です。近い将来には、私どもと一緒に
在日経験の長い外国人の方が部屋に常駐することになれば、一緒に悩みを
聴くことができるのではないかとも思います。
 また、日本人の相談員の人数も足りないので、すべてボランテイアベース
ですが、会員の皆さんのなかで関心のある方はぜひ手を挙げてください。
思いもよらぬ経験ができたり、思いもよらぬ人に出会えたりと、結構楽しい
ものです。                       (NIMIC理事 斎藤 勝)

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┏ [8] 会員より「MIA主催『外国人による日本語スピーチ大会』」
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 3月7日、武蔵野市国際交流協会(MIA)主催の「外国人による日本語
スピーチ大会」があり、NIMIC子ども日本語教室中学部に通う劉 健君が
参加しました。
 当初参加を躊躇していた健君でしたが、参加を決意するや、意欲満々に
納得のいくまで何度も原稿を書き直し、練習していました。
 当日、待ち合わせ時間に健君が現れず、ハラハラさせられましたが、実は
前日遅くまでスピーチの練習をしていて、朝起きられず、ボランティアの携帯を
鳴らす音が目覚まし時計の役目を果たしたそうです。
 何とか会場に間に合った健君ですが、9人の参加者中、3番目に発表する
ことになり、緊張気味でしたが、壇上に上がると今までの緊張がうそのように
落ち着いてスピーチができ、大成功でした。
 スピーチが終わって壇から降りるときに、花束をもらって照れくさそうに
笑った顔、やり終えた安堵とやり遂げた充実感に満ちた笑顔が印象的でした。
   (NIMIC会員 岩野英子)
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「日本に来て」   NIMIC子ども日本語教室 劉 健(中学2年 来日約1年半)

 中国にいたとき、ぼくは、自分が日本に来ると全然、思わなかったです。
日本で生活し、勉強できると、思いませんでした。
 今、ぼくはまだ夢を見ているような感じです。長い、なが〜い夢です。夢から
さめたらぼくは、まだ前の中国の中学校にいて、隣のお友達と一緒にがっかり
するかもしれません。
 日本についての印象はあまりよくありませんでした。以前に日本は中国を
侵略しました。いまは南極でくじらを捕まえます。いい印象は非常に少ないです。
 初めて、日本にきたときの印象は良かったです。大きな観覧車があるし、
高いビルもあるし、あかい電気もあります。ぼくが前に、住んでいたところより、
何倍もいいです。
 成田から家までタクシーに乗りました。タクシーに乗ったぼくの目には、
すべてが新鮮で、すべてが美しかったです。
 9月ごろ、学校に行きました。五個の単語も言えないぼく、そのぼくが日本人と
一緒に勉強することは不思議なことです。はじめのころ、皆さんがとても親切で、
ぼくも面白くおもって、だんだん学校にいく事が好きになりました。
 こんなに良い関係の中で、足らなかったのは、ぼくが日本語を全然わからない
ことです。みんなと会話するとき、ただ笑っています。本当はおかしくないです。
 みんなは毎日、ふざけたり、さわいだりしています。幼く見えます。ぼくは
好きではありません。みんなと一緒に騒ぐことは、とても出来ません。だから、
だんだんと自分がみんなと交流することが出来なくなりました。みんなとの
距離もますます遠くなりました。1ヶ月もしない内に、学校に行くのが嫌になり
ました。毎日、毎日ぐっと我慢しています。
 ぼくは、みんなと同じことはしたくないです。みんなと同じカバンはもちたく
ないです。その理由はみんなにぼくを覚えてもらいたいからです。遠いところ
から来た違ったカバンをもっている人。違ったカバンで学校に来る人。すぐ、
みんなは覚えてくれます。ぼくがいちばん最初に考えついたのは小学校の
ときです。小学校の時からいままでずうっと変わりません。
・・・省略・・・
 時間は流れる水のようです。時間を忘れたときはゆっくり流れます。ちょっと
でも気持ちをゆるめると滝の水のようにまっすぐ下に流れていきます。でも、
ぼくはいつも時間が来るのを待っています。時間が早く流れてくれないかな〜と
思っていました。でも、実際は一瞬の内に時間が過ぎていきました。僕が
日本に来て、もうすぐ2年です。会話がまだ十分にできない僕です。この一年
あまりをどうやって過ごしてきたのかとずっと今は考えています。
 最後に、この機会をかりて、ボランティアの先生たちと角屋先生に感謝します。
先生たちがぼくにくれたものはしっかりと受け取りました。そして、今日から
さらに頑張ります。
 皆さん、ありがとう。

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┏ [9] 会員より「坂の街・テグシガルパの窓から(22・最終回)」
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 2006年6月に「西東京市で響きあう 〜共演、ガーナの太鼓・日本の
和太鼓〜」と題して行ったイベントに協力していただいた(お仕事の
都合により、残念ながら当日は出演していませんでしたが、コーディネート、
練習等でご協力いただきました)「保谷和太鼓会」のメンバーがホンジュラスの
首都テグシガルパに赴任し、現地の様子をリアルに伝えるおたよりを
寄せてくださいました。以下にご紹介します。
※テグシガルパは盆地とはいえ、たくさんの丘があり、坂の多い街だそうです。

〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜
 「仕事でしばらくホンジュラスに行ってきます」
 友人知人にこう報告すると、返ってくる答えは判で押したように、
「へぇ…で、どこでしたっけ、それ?」
というものでした。
 そんな知られざる中米の国、ホンジュラスに来てはや2年。
 日々の暮らしで出会った小さな驚き、発見のあれこれをお届けします。

−国境を越えない国際人−
 「坂の街・テグシガルパの窓から」も最終回となりました。
 仕事の引継ぎ資料を作成したり荷造りをしていると、自然とそれにまつわる
記憶が思い起こされます。
 ここにはご紹介きれないほどたくさんの発見があり、その度にホンジュラス
という国や人の歴史、習慣、価値観に触れて、驚いたり、不思議に思ったり、
不可解を通り越して憤ることも数えきれないほどありました。
 中南米での生活は初めてではありませんでしたが、国境を越えて暮らす
ことの難しさ、異なる言語で伝え合うもどかしさ、そして何より私という
人間の未熟さを痛感しました。
 でも翻ってみると、こんなよそ者を受け入れる方も、きっと簡単では
なかったでしょう。唐突に笑い出したり、憤慨したりする日本人に、時には
奇妙に思うこともあったはず。でも、彼らはわからないなりに私という
「変人」を受け止めてくれました。私の意見にも耳を傾け、彼らなりの説明や
見解を述べ、お互いに分かり合えなかったとしても、どちらもが相手を
ほんの少し理解することができました。
 今思えば、マジョリティーの立場にいながら、私というマイノリティーの
話を聞いてくれる彼らは、実は私などよりずっと心が広くしなやかで、
ひょっとすると「国境を越えない国際人」なのかもしれません。
 そんな彼らに敬意を表し、改めて感謝しながら、帰国の途につきたいと
思います。
  (Yuko Watayama)

 約2年にわたって掲載してきた「坂の街・テグシガルパの窓から」は、
今回をもって終了します。

★2006年「西東京市で響きあう 〜共演、ガーナの太鼓・
日本の和太鼓〜」の様子は、NIMICのHPでご覧いただけます。
 →→→ http://www.nimic.jp/jpn/event/060617.html

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┏ [10] 世界の国々・人々 〜忘れられない旅(23)
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 「世界の国々・人々」と題したこのコーナーでは、ある国にスポットを
あて、その国の文化・人々との交流を、不定期ですが、いろいろな形で
お届けしていきます。
 引き続き、NIMIC代表理事であり、武蔵野大学・大学院教授でもある
佐々木瑞枝先生の書き下ろしエッセイをご紹介します。

71日間、世界の青年たちとの船の旅

 23回 「オマーンは英国と並ぶ海上帝国だった!」

 オマーンの首都であるマスカットの知事を代表の十人でお訪ねした。
十九世紀、オマーンは東アフリカからパキスタンにまたがる海上帝国を築き、
英国と並んでインド洋の二大海上勢力の一つであったという。そのころから
マスカットは海の玄関として繁栄し、現在はマスカットを中心に首都圏が
形成されている。

 その要職にあるサイード知事は白い長衣にターバン、腰には美しい飾りの
ついた短剣という礼装で我々を迎えてくれた。物静かな口調でアラビア語を
話され、国王の従兄弟であり、教育青年省次官のサリム氏が英語に通訳する。
何という優雅な教養を身につけた政治家たちだろう。日本の政治家を思い描き、
この人たちと太刀打ちできる人が要るのだろうかと、一瞬、東洋の島国の人材
不足を思った。

 「オマーンの方は良く日本のことを御存知なのに、日本人はあまりオマーンの
ことを知りません。この機会にオマーンのことを紹介できればと思います」と
申し上げるとニッコリされ、「カブース国王もお忍びで日本を訪問されたことが
ありますし、たくさんのオマーン人が日本を訪ねています。この機会にもっと
オマーンを知って頂ければと思います」。と。

 「青年の船」に乗っているオマーンの若者たちもそうだったが、オマーンの
人達は穏やかで、誠実で、押しつけがましさが無く、どちらかと言えば日本人の
物腰と共通したところがある。日本はオマーン石油の最大の輸出先であり、
また日本にとってもホルムズ海峡を自国領に持つオマーンは原油の輸入先と
して大変重要な国なのである(封鎖の心配がない)。

 美味しいアラビアコーヒーが先程から際限なく私のカップに注がれている。
カップを横にふる「ノー」の動作を忘れていたためだ。今度オマーンを訪ねる
ときは、もう少し勉強してこよう。そしてマスカットから千キロのところにある
緑の楽園サラーラを訪ねてみたい。
     (武蔵野大学・大学院教授 佐々木瑞枝)

★これまでに掲載したエッセイのバックナンバーは、NIMICのHPで
ご覧いただけます。
 →→→ http://www.nimic.jp/jpn/magazine/essay_1.html

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┏ [11] キーワードを読む
    「多文化共生」について理解を深めるために(32)
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 NIMIC設立の理念の中で大きなウェートを占める「多文化共生」。
この言葉をキーワードに、2006年9月号から多文化共生に関わる本の
紹介を始めました。
 32回目の今回ご紹介する本は、1967年米国生まれの詩人である作者が、
小学館国語辞典編集部のホームページ「Web日本語」に3年半にわたって
書いた文章を1冊にまとめたものです。

『日本語ぽこりぽこり』   2005年3月 1600円
   アーサー・ビナード著  小学館

 作者は大学の卒論で日本語に出会い、魅惑されて来日、日本語での
詩作、翻訳、文筆を始めました。2001年詩集『釣り上げては』(思潮社)で
中原中也賞、2005年本書で講談社エッセイ賞、2007年『ここが家だ
ベンシャーンの第五福竜丸』(集英社)で日本絵本賞、2008年詩集
『左右の安全』(集英社)で山本健吉文学賞を受賞しています。
 
 1990年に23歳で来日した当初は日本語学校へ通い、テレビや戸口を
訪ねる宗教勧誘まであらゆるものから日本語を学習したそうです。
習字・俳句・落語・古典・方言、実にさまざまなものに興味を持ち、日本語の
造詣を深め、現在は日本語で詩作をし、俳句をひねり、絵本・エッセイを
書き、英語の本を日本語へ、日本語の本を英語へ翻訳し、いくつもの雑誌や
新聞に連載をもち、ラジオのパーソナリティーもつとめています。表題の
「ぽこりぽこり」は夏目漱石の俳句の一節です。
 詩もエッセイも、透明感のあるやや硬質で、歯切れがよい文章です。
日本の詩人にままあるような曖昧模糊としたところがありません。この
作者は、言葉に対する感性がとても鋭敏で、気になるものは深く追求して
いきます。
 「・・・・・母語の英語だけでなく日本語をも得て、退屈することは皆無だ。」と
あとがきにあります。彼の言葉や文化に対峙する姿勢に敬服するとともに、
この本を読んであらためて日本語の持つ世界の広さ、奥行きの深さを思い、
そこに住む私自身を幸せに感じています。また、日本語が世界に受け入れられ
つつあると同時に、日本語による創作や評論が、日本で生まれ育った
人間だけのものではなくなりつつあることも実感させられました。
 エッセイ『空からやってきた魚』(草思社)もおなじく面白いです。
  (NIMIC会員 根本 百合)

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┏ [12] 2009年度・今後の事業予定 
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※詳細は随時お知らせします。
2009年
4月11日 多言語全体拡大ミーティング
   25日 留学生ホームビジット 受け入れ家庭説明会
5月10日 総会
   17日 二胡体験講座

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 今回のNIMIC通信は、いかがでしたでしょうか。
みなさまのご意見、ご感想をお待ちしております。
 メールはこちら→→→ info@nimic.jp
★NIMIC通信のバックナンバーはこちらから。
 http://www.nimic.jp/jpn/magazine/back_number.html
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発行・編集
 NPO法人 西東京市多文化共生センター(NIMIC)事務局
住所 〒202‐0023 西東京市新町1−12−3
FAX 0422‐53‐5350
e-mail info@(@を小文字にしてお送りください)nimic.jp
ホームページURL http://www.nimic.jp/
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