西東京市多文化共生センター

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    NIMIC通信 No.111(2015年9月号)
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┏ [9] キーワードを読む
   「多文化共生」について理解を深めるために(105)
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 NIMIC設立の理念のなかで大きなウェートを占める「多文化共生」。この言葉をキーワードに、2006年9月号から多文化共生に関わる本の紹介を始めました。
 第105回目の今回は、ウクライナの女性が日本語で書いたエッセイです。

「ウクライナから愛をこめて」   オリガ・ホメンコ 群像社 

 本の著者紹介から・・・ウクライナの首都キエフ生まれ。キエフ国立大学文学部卒業後、東京大学大学院に留学して博士号を取得。現在はキエフの大学で日本史を教えながら、作家、フリージャーナリスト、通訳として活躍。訳書に『現代ウクライナ短編集』(藤井悦子と共訳、群像社)があるそうです。
 皆さんは、ウクライナと聞いて、どんなイメージをお持ちですか? 私は昔学校で習った「ソビエトの穀倉地帯」ということしか記憶にありません。 最近のウクライナの紛争が、なぜ起きて、解決の道筋が見えないのか、いったいどんな国なのか・・・わからないことだらけだったので、この本を読んでみました。
 18編の短いエッセイがおさめられています。著者の家族や親せき、友人などの人生に実際に起こったことをさらっと描いてあり、読むと、ウクライナに暮らす人々の生活がすぐ身近な現実のものとして立ち上がってきます。キエフの街案内の文章もあり、旅ごころも刺激されます。最後の1編は著者が中学生の時に起きたチェルノブイリ原発事故の時の記憶です。
 読後、インターネットでウクライナのことを調べてみました。
 独立したコサック国家からロシア帝国の一部となり、革命によりソビエト連邦の一員となり、戦時中はドイツに占領され、再びソビエト連邦となり、1991年のソビエト崩壊により独立国家へ。ソビエト連邦時代に死者数百万人と言う大飢饉を二度も経験、第二次大戦では国民の5人に1人が戦死したと言われるほどの被害、1986年にはチェルノブイリ原発事故が起きました。2013年からの今回の紛争ではすでに死者が5000人を超えたと言われています。
 ・・・ポーランドやリトアニアのことは本でいろいろ読んだことがありましたが、ウクライナもまた大変な歴史を歩んでいます。私が知らないだけで、近隣の他の国々でも様々なことがあるのだと思います。大陸で生きるということはなんて大変なんだろうというのが、島国に住む私の感想です。
 残念ながら再販未定のようです。図書館で借りてお読みください。
   (NIMIC会員 根本 百合)

 
 
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