西東京市多文化共生センター

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    NIMIC通信 No.120(2016年6月号)
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┏ [12] キーワードを読む
    「多文化共生」について理解を深めるために(114)
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 NIMIC設立の理念のなかで大きなウェートを占める「多文化共生」。
 この言葉をキーワードに、2006年9月号から多文化共生に関わる本の紹介を始めました。
 第114回目の今回は、言語や国籍について、深く思いを巡らせるエッセイをご紹介します。

「台湾生まれ日本語育ち」 温又柔著 白水社 2016年1月
     
 著者は1980年台北市で生まれ、3歳の時に家族とともに東京へ引越しました。
 台湾語交じりの中国語を話す両親のもとで育ちますが、幼稚園、小・中学校へと進む中で、自分自身の中心に位置する言語が日本語へとわっていきます。
 両親や親せきの話す言葉はわかるのだけど、自分の口からそれが出なくなり、話すのは日本語ばかりになるのです。
 高校で第二外国語として中国語を学び始めるのですが、それは自分が慣れ親しんだ台湾で話される言葉とは発音も文字も違う中国語なのでした。…両親の世代、祖父母の世代、それ以前の世代や自分と同年代のいとこたちの世代、台湾の歴史的な様々な出来事と各々の時代に学校教育を受けた人々の言語の問題などに思いを巡らせて、文章がつづられていきます。
 2011年9月から2015年5月まで、白水社のホームページに掲載されたエッセイ「失われた“母国語”を求めて」を加筆訂正して出版されたのがこの本です。
 後半、同じ話題が繰り返されたり、やや読みにくい面もありますが、4年間の心の軌跡とその向かう所に、私は感動しました。
 著者は2011年すばる文学賞佳作を受賞しました。
 受賞作は他の1編と合わせて「来福の家」(集英社)として出版されました。
 それは翻訳され、2014年3月「來福之家」として台湾でも出版されたそうです。
            (NIMIC会員 根本百合)
                             

 
 
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