西東京市多文化共生センター

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  NIMIC通信 No.127(2017年2月号)
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┏ [12] キーワードを読む
     「多文化共生」について理解を深めるために(121)
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 NIMIC設立の理念のなかで大きなウェートを占める「多文化共生」。
 この言葉をキーワードに、2006年9月号から多文化共生に関わる本の紹介を始めました。
 第121回目の今回は、カンボジアの内乱を生き抜いた少女の物語です。

「カンボジアの大地に生きて」  ミンフォン・ホー作 もりうちすみこ訳
  さ・え・ら書房 2014年
 
 1975年ポル・ポト派が政権を取り、極端な共産主義を実践した3年9カ月の間に、当時の人口700-800万人中の100-200万人が処刑・飢餓・病気などで亡くなったと言われています。
 1979年のベトナム軍のカンボジア侵攻によってポル・ポト政権の恐怖政治は終わりましたが、その後もポル・ポト派の残党、クメール・セライ、ソン・サン派、ベトナム軍などが入り乱れて戦闘を繰り広げ、最終的に内戦が終結したのは1991年10月のパリ和平協定でした。
 この本は、カンボジアの村の少女ダラの目から描く内戦の様子です。
 戦争がはじまり、平和だった村の上を爆撃機が飛び、爆弾で大勢の人が死にました。
 ある日爆撃はやみますが、村はポル・ポト派の兵士にのっとられます。
 村の子どもたちに字を教えていた父は殺され、兄は強制労働のため連れ去られ、満足な食事も与えられずに女子どももきつい仕事をさせられました。
 悪夢のような3年間が過ぎ、ベトナム兵がやってきて村は解放されますが、ポル・ポト軍は最後に村のすべての食べ物や家を焼き払って去ったため、村には何も残っていません。
 生き残った家族3人、母と兄とダラは残った荷物をすべて牛車に積み、タイとの国境にあるというノンチャン難民キャンプをめざします。
 この本はフィクションですが、ダラが生きていれば今50歳位になっているはずです。
 カンボジアのそれ以上の世代の人々が多かれ少なかれ実際に体験したことだと思います。
            (NIMIC会員 根本百合)

 
 
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