西東京市多文化共生センター

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  NIMIC通信 No.138(2018年2月号)
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┏ [7] キーワードを読む
    「多文化共生」について理解を深めるために(132)
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 NIMIC設立の理念のなかで大きなウェートを占める「多文化共生」。
 この言葉をキーワードに、2006年9月号から多文化共生に関わる本の 紹介を始めました。  第132回目の今回は、生まれも育ちもアメリカだけど国籍はオーストラリアで、作家、翻訳家、劇作家、演出家で東京工業大学 名誉教授というマルチな才能の持ち主の日本語論です。

『驚くべき日本語』
ロジャー・パルバース著 早川敦子訳 集英社:知のトレッキング叢書2014年 
    
 著者は1944年アメリカ生まれのアメリカ育ち、大学でロシア語を学び、 ワルシャワ大学へ留学してポーランド語を、23歳で来日し日本語を勉強し ました。
 本は五つの章に分かれています。
第一章 言葉とは何か
第二章 日本語は曖昧でもむずかしい言語でもない
第三章 日本語―驚くべき柔軟性をもった世界にもまれな言語
第四章 世界に誇る美しい響きの日本語とは
第五章 「世界語」(リンガ・フランカ)としての日本語
 「23歳で日本に来てからというもの、わたしは日本文化にどっぷりとつ かった人生を歩んできました。
 日本を学ぶことに人生を賭けたいと思いまし たし、世界中の人たちに、『日本』発見の驚きを伝えたいと思ってきました。
…日本語を学び、その池の深みに分け入っていくことで、ついに、底にあ る石の美しさをとらえたわたしの両の目が、そのあまりの輝きにくらみまし た。
 これこそが、わたしの人生における至福の喜びです。
 本の終わり近く にあるこの文章は、日本人としては大変に面映ゆいです。が、こう書かれ るだけあって、日本の社会、歴史、言語、文学などに対する造詣の深さは 半端でなく、宮沢賢治の詩の解説は、日本人の私にも本当に勉強になりました。
 大人になってから日本語を学習した方が書いた日本語論であるという点 が、日本語教師にはもちろん大変参考になります。が、それ以上に、この本 を読みながら感じたのは、著者の「日本愛」!!
 日本に強い魅力を感じ、 深く研究し、そして喜びを感じてくれたことが無性にうれしいです。
 1983年制作の映画『戦場のメリークリスマス』で大島渚監督の助監督を 務め、2008年制作の映画『明日への遺言』で監督・小泉堯史と共同で脚本 執筆。2008年第18回宮沢賢治賞を受賞。2013年第19回野間文芸翻訳賞 を受賞。
     (NIMIC会員 根本百合)


 
 
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