西東京市多文化共生センター

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  NIMIC通信 No.142(2018年6月号)
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┏ [13] キーワードを読む
    「多文化共生」について理解を深めるために(136)
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 NIMIC設立の理念のなかで大きなウェートを占める「多文化共生」。
 この言葉をキーワードに、2006年9月号から多文化共生に関わる本の 紹介を始めました。
 第136回目の今回は、2013年に出版された本です。

 在中日本人108人の それでも私たちが中国に住む理由
   在中日本人108人プロジェクト編 阪急コミュニケーションズ 2013年9月

 2012年9月11日日本政府が尖閣諸島3島を国有化、15(土)、16(日)、18 (柳条湖事件記念日)の3日間、中国の100カ所以上の都市で抗議デモが発生。
 深?や西安、長沙、青島などで一部暴徒化し、日系のスーパーや工場などが 襲撃され、日本大使館や日本総領事館の窓ガラスが割られ、27日に予定され ていた日中国交正常化40周年記念式典が中止されました。
 この時、中国では約14万人の日本人が暮らしており、この反日デモを経験 しました。
 広い中国の各地、18都市からの108人の声を集めた本です。
 日系企業の駐在員、自営業、留学生、日本料理店やスーパーなどの商業関係、日 本語教師、研究者、医師、写真家、俳優、音楽家、建築家、中国企業で働く 日本人、高校生、さらに日本大使館公使やJICA、共同通信社などのメディア 関係の方など、様々な立場の人々が、名前・略歴・顔写真を載せて、文章を 寄せています。
‥・・・親しい友人知人の態度は変わらなかった。
 仕事も生活もほとんど影響 はなかった。街が異様な雰囲気で不気味だった。
 仕事が大きな影響を受け、1年近くたっても元に戻っていない。
 管制デモだった。
 個々人が直接交流することで理解が生まれる。
 中国版ツイッター微博(ウェイボー)上には「暴力行為 ははずかしい」という中国人の書き込みもあった。
 暴力行為場面のみを繰り返し放映する日本メディアの責任も大きい。
 日本商品に対しては絶大な信頼感がある。
 日本語を熱心に学ぶ学生達がいる。80・90年代生まれの世代は 想像以上に教育課程で洗脳されている。日中双方の情報ギャップは深刻。 日本政府は的確な反論を。語学以外の専門留学も必要。中国は国営メディア の他に市場型メディアがあり大きな役割を果たしているので、日本に関する 情報発信が重要。中国政府も、今は世論を無視できない時代。一番大変 だったのは日本本社役員からの電話対応。政府に洗脳される中国人は何 事にも懐疑的、日本人がメディア情報を鵜呑みにするのは問題。熱烈な J-POPファンが存在。毎日テレビで放映される抗日ドラマに気がめいる。情 報感度の低い層に日本嫌いが多い。中国は広く、最先端の街から辺境地ま で多様性が大きい。‥・・・

 執筆者には、中国で多くの友人知人に恵まれて充実した生活を送ってい る方が多いようで、若干の偏りはあるかもしれませんが、貴重な記録である と思います。
 この本が出版されてから5年、中国はまた変化している部分が あることでしょう。
 続編がでないかと期待しています。
                       (NIMIC会員 根本百合)





 
 
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