西東京市多文化共生センター

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   NIMIC通信 No.147(2018年12月号)
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┏ [12] キーワードを読む
   「多文化共生」について理解を深めるために(141)
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 NIMIC設立の理念のなかで大きなウェートを占める「多文化共生」。
この言葉をキーワードに、2006年9月号から多文化共生に関わる本の 紹介を始めました。第141回目の今回は、現在の中国の富裕層の姿が とてもよくわかる本です。

日本人は知らない中国セレブ消費   袁 静 著  日経プレミアシリーズ 2018年2月

 著者紹介から … 上海市生まれ。北京第二外国語大学卒業。早稲田大学 アジア太平洋研究科に留学後、日経BP社に入社し日本で10年間を過ごす。 帰国後、2009年北海道をテーマに雑誌『道中人』を、2011年九州をテーマ に『南国風』を創刊。2013年、両誌を合併し、中国富裕層向けに日本の魅力 を伝える雑誌『行楽』を創刊、2015年株式会社行楽ジャパンを設立する。 現在、上海と東京にオフィスを構え、中国での日本の観光PRに活躍する。

 現在の中国は大変な格差社会であり、ごく一部の大富豪がいますが、 彼らは消費生活も子どもの留学先も欧米ブランド一辺倒。その下の世帯年収 500-2000万円の層を著者は「プチ富裕層」と名付け、自身の仕事である日本 旅行の訴求対象と位置付けています。この階層は土地バブルの恩恵を受け、 年に何度も海外旅行を楽しむという、収入以上に豊かな生活を満喫しています。 国民の上から10%内の彼らが、なんと人数では日本の総人口を上回るのです。 このプチ富裕層は主に上海、北京、広州、深圳の四都市の在住者で、(他の 地方都市から来る)中国人団体客のいない所に行きたい、そして、変わった 体験をしたり趣味を追求するなど、より深く旅行を楽しみたい人々なのだそうで す。著者は、日本人の生活や経済、価値観を熟知していると同時に、中国人の それらももちろん熟知しており、中国のSNSに書き込まれる彼らの声に広く 目を通しています。仕事として日々、日本と中国の様々を分析しつつ思った ことを書いたのがこの本です。
 実に面白く読みました。ここ十数年、中国からの留学生を見ていて感じた ことがみんな書いてあります。なるほどなるほどそうだったのか。日本人でも 同じように考えている方はあるでしょうが、失礼なようでこうはっきりとは文章 化できない。そこを、この著者ははっきりと数字を挙げてズバズバと、気持ち よく書いていきます。マーケティングの分析レポートを発展させたような本です。      (NIMIC会員 根本百合)




 
 
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