西東京市多文化共生センター

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  NIMIC通信 No.155(2019年9月号 )
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┏ [14] キーワードを読む
  「多文化共生」について理解を深めるために(149)
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 NIMIC設立の理念のなかで大きなウェートを占める「多文化共生」。この言葉 をキーワードに、2006年9月号から多文化共生に関わる本の紹介を始めました。 第149回目の今回は、囲碁の本です。

『棋士マイケル・レドモンド』    マイケル・レドモンド著 出版芸術社 2015年8月 1400円

   今年4月、10歳になったばかりの小学4年生仲邑菫さんが囲碁のプロ棋士 となり、プロの最年少記録を塗り替えて話題になりました。この日本の囲碁界で、 38年前からアメリカ人棋士が活躍しているのを知っていますか?林海峰や趙 治勲など 台湾・中国・韓国の棋士は昔から大勢いましたが、欧米では初めて です。それが、この本の著者マイケル・レドモンドさんです。 マイケルさんは1963年カリフォルニア州サンタバーバラの生まれ。囲碁が 趣味だった物理学者の父に教えられて10歳の頃に囲碁を覚え、14歳の夏休 みに1人で日本へ囲碁留学し、日本棋院の院生になりました。中3の終わり に大枝雄介九段の内弟子になり、囲碁漬けの毎日へ。17歳で無事入段を果 たしプロ棋士初段となり、2000年37歳で最高位九段となりました。この本は マイケルさんの囲碁人生の自伝ですが、囲碁の世界のしくみや変化が日本人 にもわかりやすく書かれています。 現在、日本棋院には初段から九段まで348名(10~92歳)のプロ棋士がいて、 毎年七大タイトル等を目指して戦うわけです。しかし、タイトルを獲得したり、常 にタイトル争奪に絡んでくるトップ棋士と言われる人は10数名。なかなかそこ に辿り着けない口惜しさとともに、囲碁を覚えるのがちょっと遅かった、アメリカ にいる間は本で定石や詰碁の勉強が多く実戦経験が少なかった等、マイケル さんは自己分析をされています。非常にまじめで勉強熱心な方で、NHKの囲碁 講座の講師を務めたり、本を書いたり、また、海外での囲碁の普及活動にも尽力 されています。最後の方に、囲碁を取り巻く状況の変化を冷静、的確に分析して います。インターネットの普及で、世界中の棋譜がすぐに手に入るし、世界中 の人とパソコンで対局することが出来る時代になった。昭和には20代はまれで 30ー60代の棋士が大活躍していたが、最近は20―30代の若手全盛で、勝負 中盤のぶつかり合いが非常に激しい。日本では囲碁を楽しむ人が高齢化し、 20―50代の囲碁年齢が減少(会社の囲碁部なども減少)、囲碁の社会的地位 が低下している。タイトル戦のスポンサーである新聞各社の苦境・・・など。囲碁 の先行きに心配も多いが、囲碁は世界中の人々誰でもが楽しめる大変面白い 奥の深いゲームだとの言葉はうれしいです。マイケルさんも仲邑菫さんもみんな 頑張れ・・・応援しています。
                       (NIMIC会員 根本百合)










 
 
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