西東京市多文化共生センター

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  NIMIC通信 No.167(2020年9月号 )
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┏ [8] キーワードを読む
  「多文化共生」について理解を深めるために(160)
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NIMIC設立の理念のなかで大きなウェートを占める「多文化共生」。この言葉を キーワードに、2006年9月号から多文化共生に関わる本の紹介を始めました。 第160回目の今回は、藤井聡太二冠の活躍で注目の集まる将棋の世界を描 いた漫画をご紹介します。と言っても熱血マンガではなく、この暑い時期にも 寝転がって読めるほのぼの形です。

マンガ『将棋の渡辺くん』(1)~(4)       伊奈めぐみ  講談社 ワイドKC 週刊少年マガジン

   主人公の渡辺明棋士は、2020年8月末現在8タイトル中の3タイトル (名人、王将、棋王)を持つ実力ナンバーワンの棋士です。作者は漫画家の 伊奈めぐみさん、渡辺棋士の奥様ですが、ご本人も昔奨励会に通っていたと いう将棋に詳しい方です。この漫画は、将棋のルールや勝つためのコツを描い たものではなく、渡辺棋士を中心に一家の日常を描いてあります。作者のブロ グを見た出版社の方から声がかかって本になったもので、内容は95%が事実 ということです。4冊読んでいくうちに、将棋の世界の様々なシステムもよくわか ります。プロの棋士というと、奇才、天才、超人的な努力などが連想され、実に 難しそうな人物だと思われがちですが、この本では普通の日々の生活が描か れて、人柄が身近に感じられます。タイトル戦で勝つと温泉に入って翌日連盟 関係者と一緒に新幹線で帰ってくるが、負けると別行動で一人時間をずらして 帰宅するとか、「でしょう、でしょう」が満載です。将棋は負けた方が「負けまし た」と言うか投了した時点で勝負が決まります。7月16日、藤井聡太棋士が 17歳の最年少記録で棋聖のタイトルを取って一斉にフラッシュがたかれた時 に「負けました」と言った後姿がこの渡辺前棋聖。2017年に羽生善治棋士が 永世竜王を獲得して永世七冠という偉業を成し遂げ、フラッシュを浴びた時の 対戦相手がやはりこの渡辺棋士でした。本当にお疲れ様です。 将棋のプロとはプロ4~9段の約160人を差し、その下に奨励会があり、 女流棋士は別の組織になります。奨励会からプロ棋士になるには年齢制限 があり、涙を呑んで諦める人も多いのですが、サッカー部や野球部の高校生 が全員プロになるわけではないのと同じだと思います。現在は8大タイトルが あり、順位戦と各予選リーグから最後のタイトル戦までが年間プログラムに 組まれて、年間通して話題を提供しつつ運営されています。 今回流星のごとく現れタイトル2冠となったのは日本人高校生でしたが、今や、 インターネットで対局中継も見られるし、棋譜も手に入るし、外国の人と対局も できる世の中です。いずれ、遠い国から、外国人棋士が流星のように現れる かもしれないと私は思っています。  (NIMIC会員 根本百合)


 
 
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