西東京市多文化共生センター
┌-------------------┐  
     NIMIC通信 No.68(2012年1月)
└-------------------┘


┏┏┏ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏ [11] キーワードを読む
    「多文化共生」について理解を深めるために(63)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 NIMIC設立の理念のなかで大きなウェートを占める「多文化共生」。この言葉をキーワードに、2006年9月号から多文化共生に関わる本の紹介を始めました。
 第63回目は、多様な文化背景を持つ作者が描いた絵本をご紹介します。。
 
 『おじいさんの旅』
 アレン・セイ作  アレン・セイ/大島英美訳
 ほるぷ出版 2002年11月邦訳出版 1,680円

 明治時代、アメリカに渡った日本人男性がいました。アメリカの各地をめぐり、結婚し、サンフランシスコに住みます。しかしサンフランシスコで生まれた娘の成長を見ると、自分の幼い頃が思い出され、日本が恋しくなり・・・娘を育て上げた頃、日本に帰国します。が、日本に帰るとこんどは、アメリカのことが恋しくなり・・・二つの国への思いと、二つの国の間でアイデンティティが揺れ動くさまを描いた絵本です。
 作者のアレン・セイは、横浜生まれで、日系アメリカ人の母と、イギリス人夫婦の養子として上海で育てられた韓国人の父との間に生まれました。16歳でアメリカに移住するまで、日本各地に移り住んでいます。そしてこの絵本の物語は、作者の祖父の物語。
 日本語版あとがきにはこう書いてあります。「旅をすることは、ぼくたちを異邦人にする。つまり、ぼくたちは何処に行ってもしっくりくることのない、よそ者になるということだ。」
 「何処に行ってもしっくりくることのない」宙ぶらりんな思い、国境を越えて日本にやって来た外国につながりをもつ人々も、それは同じなのではないでしょうか。日本にいて彼らとつきあっていく上で、その気持ちを、痛みを、少しでもこの本から感じ取れればと思います。
                  (NIMIC会員 西原明子)

 
 
 前号の本の紹介文に移る | 書籍の一覧に戻る | 次号の本の紹介文に移る

HOME  |  ABOUTUS  |  ACTIVITIES  |  VOLUNTEER  |  CONTACT  |LINKS

NPO法人 西東京市多文化共生センター     Copyright (C) 2011 NIMIC All Rights Reserved.