西東京市多文化共生センター
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     NIMIC通信 No.73(2012年6月)
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┏ [10] キーワードを読む
    「多文化共生」について理解を深めるために(68)
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 NIMIC設立の理念のなかで大きなウェートを占める「多文化共生」。 この言葉をキーワードに、2006年9月号から多文化共生に関わる本の紹介を始めました。
 第68回目の今回は『舟を編む』、今年の本屋大賞受賞作でとにかく文句なしにおもしろい!
 わずか半年で50万部を突破し、売上第一位を快走中です。

『舟を編む』  三浦しをん著 光文社 2011年9月

 ある出版社の辞書編集部が舞台です。新たな国語辞典の編纂を企画し作業に入るのですが、続く不況の中で時折り中止のうわさが飛び交い、「紙ばかり食う金食い虫」と陰口を叩かれる中で、地味な作業は10数年に及びます。言葉とは?日本語とは?辞書とは? 編集者たちの熱意に、読者も思わず引き込まれてしまいます。辞書を作るドキュメンタリーを見るような面白さに加えて、超個性的な登場人物たちが生き生きと動くフィクションとしての魅力も充分です。著者が実際の辞書編集者たちに取材して書いたそうですが、辞書を作るというやや凡人離れした遠大な才能から発する魅力かもしれません。
 『大言海』の大槻文彦の話など読んだことはありましたが、遠い昔の話という感覚で受け止めていました。でも、この本を読んで気が付きました。私も辞書を使っている。言葉がある限り辞書があり、現在も未来も辞書作りはずーっと続いている。まして今は言葉の変化がとても激しく、利用者のニーズに合わせて多種多様な辞書が競って出版され、辞書をめぐる環境は厳しい。現在を生きる辞書編集者たちに光を当てたこの本が爆発的に売れていることは、うれしい限りです。ぜひお読みください。そのあとで、きっとあなたも自分の辞書を取り出して、見出し語、本文、前書き、印刷、紙、装丁とすみずみまで眺めてしまうことでしょう。
   (NIMIC会員 根本百合)

 
 
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