西東京市多文化共生センター
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     NIMIC通信 No.84(2013年5月)
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┏ [8] キーワードを読む
       「多文化共生」について理解を深めるために(79)
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 NIMIC設立の理念のなかで大きなウェートを占める「多文化共生」。 この言葉をキーワードに、2006年9月号から多文化共生に関わる本の紹介を始めました。
 第79回目の今回の本は、南アジアの国々(パキスタン、インド、バングラティシュ、ネパール等)の児童労働について、中学生位からわかるよう大変読みやすく書かれています。

『イクバルと仲間たち ~児童労働にたちむかった人々~』
スーザン・クークリン著 長野徹・赤塚きょう子訳 小峰書店 2012年9月

 イクバルは1982年パキスタンの小さな村の貧しい家庭に生まれ、借金のかたに4歳からじゅうたん工場で働き始めました。債務は膨らむばかりで、逃げても連れ戻されます。
 彼が自由になれたのは10歳の時、債務労働廃止法案がパキスタンの議会を通過し、子どもたちを債務労働から解放する活動をしていたNGO組織のイーシャーン・ウラー・カーンに出会ってからでした。
 その後、学校で読み書きを習って勉強し、イクバルは積極的に仲間の子どもたちを救う活動に参加して、1994年リーボック人権財団の「リーボック行動する若者賞」を受賞します。
 アメリカの青少年にも強い印象を与え、今後の活躍が期待された矢先に、イクバルは自宅の近くで銃で撃たれて命を落としました。
 この本はイクバルのことだけではなく、発展途上国の貧困の問題、児童労働とはどんなもので、なぜ存在するのか、それらの事情を広く説明し、様々な改善への努力や対応を紹介しています。
 イクバルの死に衝撃を受けたアメリカの中学生たちが行動を起こし、現地のNGOと連携していい働きかけを見出していく姿は、うれしい希望です。
 ヨーロッパ、アメリカ、日本でも、少し前まで、児童労働はどこにでも存在していました。
 日本のテレビ番組「おしん」がアジアや中東で共感を呼んだのは記憶に新しいところです。
  (NIMIC会員 根本 百合)


 
 
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