西東京市多文化共生センター
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     NIMIC通信 No.92(2014年2月号)
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┏ [11] キーワードを読む
     「多文化共生」について理解を深めるために(86)
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 NIMIC設立の理念のなかで大きなウェートを占める「多文化共生」。この言葉をキーワードに、2006年9月号から多文化共生に関わる本の紹介を始めました。
 第86回目の今回は、イスラム世界の人々の日々の暮らしが感じられる本です。

「イスラム世界の人生相談」 西野正巳編訳 太陽出版
2006年4月

 著者はイスラム学の専門家で、1996~2001年の間エジプトのカイロと東京を数か月ごとに往復する二重生活を過ごしました。
 本書は、エジプトを中心とするアラブ諸国の様々な書籍や雑誌などに掲載された人生相談Q&Aから約60編を選び、翻訳してあります。
 相談しているのは一般のイスラム教徒の老若男女で、答えているのはイスラム法学者です。

 人生相談の合間にコーラン、ハディース、イスラム法学者などのイスラム教の用語やユダヤ教・キリスト教との関係などをわかりやすく解説した文章がはさまれており、理解を助けてくれます。その解説から一つ紹介します。
 「イスラム法学者はイスラム法の専門家です。彼らはモスクの管理人、説教師、宗教学校の先生などの職業に従事しています。
・・・イスラム教にはキリスト教や仏教とは違って聖職者が存在しないのですが、聖職者に代わる役割を、部分的にはイスラム法学者が担っています。・・・」解説を読んでも、残念ながらよくわからないものはわからないですね。この本に登場するのは、よりよく生きるためにどう行動したらよいかと考えている素朴で非常にまじめな相談人と、それに一生懸命答えているイスラム法学者の姿です。
 セックスやお酒、日常生活のあれこれをとても率直に相談していることが面白く、このあたりが相手が聖職者でない法学者たるところかもしれません。
 日本語ボランティアの教室でお会いしたイスラム教徒の方々も穏やかな雰囲気の方が多く、この本のイメージと重なります。
 しかし、テレビニュースでは激しい武力闘争に訴える集団、自爆テロ、極端な大富豪の存在や貧困と、全く違うイスラム世界が映し出されることに強烈な違和感を覚えます。
 この二つの世界のギャップは何なんでしょうか?
 (NIMIC会員 根本 百合)



 
 
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