西東京市多文化共生センター
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     NIMIC通信 No.95(2014年5月号)
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┏ [14] キーワードを読む
     「多文化共生」について理解を深めるために(89)
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 NIMIC設立の理念のなかで大きなウェートを占める「多文化共生」。この言葉をキーワードに、2006年9月号から多文化共生に関わる本の紹介を始めました。
 第89回目の今回は、専門は日本の戦後文化史というマイク・モラスキーさんの本です。

「呑めば、都 ―居酒屋の東京―」
 マイク・モラスキー著 筑摩書房 2012年10月
 
 著者は日本酒と居酒屋が大好きで、東京の街を飲み歩いた体験をエッセイとして新聞に連載、そこから発展してこの本ができあがったそうです。
 ジャズピアノの腕前はプロ級で、尺八や将棋も好きと聞くと、すごい遊び人のようですが、いえいえものすごく熱心な社会文化の研究家です。街歩きは、著者にとってほとんどフィールドワークなのですね。
 東京の周辺地区(南武線、武蔵野線、京成線、そして中央線の快速が止まらない駅と国立)の戦後文化史・・・戦後から現在に至る日本人の生活の変遷を、闇市の名残や占領米軍の影響などを敏感にとらえながら、描き出しています。
 国立が文教地区になったのは隣に基地の街立川があったからという話に、中央線沿線に生まれ育った私は、そうだったのか成程と納得してしまったのでした。
 アメリカ人という全くの部外者による観察なのですが、居酒屋遍歴などに培われた深い日本理解のおかげで、日本人が書くよりずっと温かみのある1冊になっています。
 今私たちの足元にあるこの素敵な世界を大切にしましょうと呼びかけられているようです。
 著者はシカゴ大学の東アジア言語文明学研究科博士課程修了(日本文学で博士号)、その後アメリカと日本の様々な大学で教え、現在は早稲田大学教授。2013年出版の本「ひとり歩き」には、アメリカ各地での生活、韓国・台湾・中国旅行、そして沖縄と東京のことが書かれているようで、こちらも面白そうです。
(NIMIC会員 根本 百合)




 
 
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