西東京市多文化共生センター
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     NIMIC通信 No.98(2014年8月号)
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┏ [10] キーワードを読む
     「多文化共生」について理解を深めるために(92)
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 NIMIC設立の理念のなかで大きなウェートを占める「多文化共生」。 この言葉をキーワードに、2006年9月号から多文化共生に関わる本の紹介を始めました。
 第92回目の今回は、前回に続いて井上ひさし作品です。

「ニホン語日記」  井上ひさし著 文芸春秋 平成5(1993)年出版
「ニホン語日記」2  著者・出版社同上    平成8(1996)年出版

 週刊文春に隔週で掲載されていたエッセイをまとめた本です。
 長い間小説や戯曲、シナリオ等を書き続けているプロの持つ言語感覚はすごいなと思いながら読みました。言葉に対する感覚が研ぎ澄まされているうえに、気になったものは徹底的に調べるのです。
 駅の伝言板の文章、ロックの歌詞、公衆電話によくあるピンクビラの文章、ラブホテルの落書き帳、大学サークルの勧誘チラシ、お役所言葉の変遷、プロ野球選手の座右の銘、名前の付け方(子どもからお米まで)、接客マニュアルの敬語、発音の揺れ、中学の受験問題。
 本当にいろんなものを見つけ出してきます。ここに挙げたのは1冊目に書かれているものだけです。20年前に書かれたとは思えない鋭さで、今でも面白く読める文章ばかりです。とはいえ、伝言板やピンクビラなど今では見なくなってしまったものもあり、社会の変化に一抹の哀愁も感じます。
 著者は日本語に関する研究書にも大変に詳しい方ですが、より広い視点で社会や人間の心情を見つめているようで、読み物としてとても面白く感じました。    (NIMIC会員 根本 百合)



 
 
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