西東京市多文化共生センター
┌-------------------┐  
     NIMIC通信 No.48(2010年4月)
└-------------------┘


┏┏┏ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏ [14] キーワードを読む
      「多文化共生」について理解を深めるために(43)
  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 NIMIC設立の理念の中で大きなウェートを占める「多文化共生」。この言葉をキーワードに、2006年9月号から多文化共生に関わる本の紹介を始めました。
 43回目の今回は、日本とブラジル、地球の反対側に位置する二つの国を行き来しながら成長する少女とそれを見守る親の思いが書かれた本です。

『ブラジルから来た娘タイナ 十五歳の自分探し』  小貫大輔著 小学館
2002.11  1,600円

 著者は性教育の専門家です。日本の大学院卒業後、サンパウロ郊外でルドルフ・シュタイナーの思想に基づき様々な活動を行う「モンチ・アズ−ル」というグループで5年間ボランティア活動に従事、エイズ予防に尽力しました。
 そこでブラジル女性と結婚、3人の娘の親となり、その後も日本、ブラジルやヨーロッパなどを行き来して活動しています。
 長女タイナは激しく日本とブラジルを行き来しながらバイリンガルに育ちました。日本の高校を受験、無事受かり1学期間そこへ通うのですが、夏に一人でブラジルへ帰っていきました。家族と離れてのブラジルでの生活、日本での高校受験などは、本人の希望を受けて家族で話し合って決めたものです。
 彼女の教育を考える中で浮かび上がるたくさんの問題や外国の情報などがいろいろとでてきますが、教育の専門家である著者も自分の娘についてはハラハラしながら見守るしかないその姿に、共感しました。終り近くに、高校受験の作文の練習のためにタイナが書いた文章がいくつか載っていますが、自分の考えを端的に表現していて、とてもしっかりしており、彼女はどこに行っても大丈夫と感じさせます。
 せっかく日本の高校に入ったのに、またブラジルへ戻ることを選んだ理由は、思春期で人間関係の広がる時期に友人ができなかったこと。それでは日本にいて母国へ帰る選択肢のない多数の子どもたちはどうしたらいいのでしょうか。私たちは違う解決方法も見つけなければなりません。
               (NIMIC会員 根本 百合)



 
 
 前号の本の紹介文に移る | 書籍の一覧に戻る | 次号の本の紹介文に移る

HOME  |  ABOUTUS  |  ACTIVITIES  |  VOLUNTEER  |  CONTACT  |LINKS

NPO法人 西東京市多文化共生センター     Copyright (C) 2011 NIMIC All Rights Reserved.