西東京市多文化共生センター
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     NIMIC通信 No.54(2010年10月)
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┏ [9] キーワードを読む
    「多文化共生」について理解を深めるために(49)
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 NIMIC設立の理念の中で大きなウェートを占める「多文化共生」。この言葉をキーワードに、2006年9月号から多文化共生に関わる本の紹介を始めました。
 第49回目は、アフガニスタン難民のキャンプを舞台にした絵本をご紹介します。

『ともだちのしるしだよ』
カレン・リン・ウィリアムズ、カードラ・モハメッド作
ダーグ・チャーカ絵 小林 葵訳
岩崎書店 2009年9月邦訳出版 \1680

 「なぜ、わたしたちみたいなこどもをえがいたほんがないの?」という、ひとりの難民の少女のことばをきっかけに生まれた物語です。舞台は、アフガニスタンとパキスタンの国境にあるベシャワールという街にある難民キャンプ。作者(カードラ)の実体験から生まれた物語で、原題は”Four Feet ,Two Sandals”.
 救援活動家が支援物資を配る場面で物語は始まります。ふたりの少女が片方ずつ見つけた一足のサンダル。そのサンダルを通してリナとフェローザは知り合い、サンダルが、「ともだちのしるし」となっていきます。が、ある日、リナがアメリカに移住できることになり……。
 今年度の「青少年読書感想文全国コンクール」の小学3・4年向けの課題図書だった本書を、小学校の4年生のクラスで読み聞かせをしました。
 少し長い話にもかかわらずじっと聞いていてくれた子どもたち。世界のどこかで、自分たちとは全く違う過酷な環境の中で、でも自分たちと同じように友だちを大切に思って涙する子どもがいるということ、それだけでも伝わればと思います。
 また本書は板橋区立「いたばしボローニャ子ども絵本館」主催の翻訳コンクールで第15回「いたばし国際絵本翻訳大賞最優秀翻訳大賞」を受賞した作品で、翻訳者の小林葵さんは受賞当時現役の高校生でした。
 「世界のどこかにいる難民の子どもの物語」を、日本の子どもが自らのことばで書く、そんな子どもが育っていることが嬉しく思える作品です。
 (NIMIC会員 西原明子)



 
 
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