西東京市多文化共生センター
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     NIMIC通信 No.58(2011年2月)
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┏[9] キーワードを読む  「多文化共生」について理解を深めるために(53)
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 NIMIC設立の理念の中で大きなウェートを占める「多文化共生」。この言葉をキーワードに、2006年9月号から多文化共生に関わる本の紹介を始めました。
 第53回目の今回はベスト・エッセイ集です。

‘09年度版ベスト・エッセイ集『死ぬのによい日だ』
    日本エッセイスト・クラブ編 文芸春秋 2009年8月 ¥1800

 2008年に発表されたエッセイで予選を通過した128篇の中から、日本エッセイスト・クラブの最終選考により55篇が選ばれ、出版された本です。つまり、その年の最も面白いエッセイ55篇です。
 1篇の長さは、1200〜6000字で、新聞・雑誌(同人誌、機関紙・誌、校内紙・誌、会報などを含む)に掲載されたものです。
 この55編の中から、以下の11篇を特にお勧めします。
(1)「気難しい恋人との付き合い方」マーク・ピーターセン(明治大学教授)
 英語圏人にとっての日本語とは
(2)「サイデンステッカーと『源氏物語』の自然観」ハルオ・シラネ(コロンビア大学教授)
著者は一歳で両親とアメリカに移住、大学院でサイデンステッカー氏に師事し、現在はその後任として教鞭をとっている。
(3)「明治天皇を食べようか」楊逸(作家) ・・・ 日中の言語・文化について
(4)「シュリーマンと日本」但木敬一(前検事総長)
『シュリーマン旅行記 清国・日本』(講談社学術文庫)の紹介
(5)「タイトルは難しい」沼野充義(ロシア東欧文学者)・・・ 文学作品のタイトルについて
(6)「食を以って天と為す」平井健一(会社顧問) ・・・ 中国の山珍海味
について
(7)「名前に思いを馳せて」糸見偲(「パンヨーロッパピクニック‘89基金」理事)
ハンガリー在住40年、ハンガリー人と結婚出産した著者の名前についての話
(8)「ひげ」有馬哲史(会社員) ・・・ カタールのプラント建設現場で働いた時の話
(9)「長寿より長精?」黒田勝弘(産経新聞ソウル支局長、論説委員)・・・ 韓国の話
(10)「鎮海の桜」加賀乙彦(作家) ・・・ 韓国の鎮海(ケネ)に桜を見に行った話
(11)「鎮魂歌(レクイエム)」木村泰司(西洋美術史家) ・・・ バリ島旅行の話

(1)〜(4)は外国人から見た日本語や日本文学・文化について、
(5)〜(11)は日本人が体感した外国文化についての文章です。
 ベストエッセイ55篇のうち5分の1にあたる11篇が多文化体験に関する話であることは、人の移動がグローバルになっていること、多文化体験がいかに面白いものであるかの表れだと思います。
 残り40数篇も、日本に関する内容ですが、戦争体験や俳句・川柳・枕草子・落語などからケータイや日常生活にいたる様々なことを取り上げた面白いエッセイです。上級の日本語学習者には、よい教材となるのではないでしょうか。
(NIMIC会員 根本百合)



 
 
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