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NIMIC通信 No.59(2011年3月)
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┏[12] キーワードを読む 「多文化共生」について理解を深めるために(54)
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NIMIC設立の理念の中で大きなウェートを占める「多文化共生」。この言葉をキーワードに、2006年9月号から多文化共生に関わる本の紹介を始めました。
第54回目の今回は北アフリカのモロッコを舞台とする自伝的作品です。
時代は約30〜40年前ですが、今連日ニュースで報道される民主化要求の戦いが、アラブ諸国の中で当時からずーっと継続していることがよくわかります。
『みんながそろう日』 —モロッコの風のなかで—
ヨーケ・ファン・レーウェン&マリカ・ブライン作 野坂悦子訳
鈴木出版 2009年11月 \1600
モロッコでは、先代の国王ハッサン二世が在位した約40年間(1961〜1999)、国王が強権をふるい、反体制デモが頻発しました。
これは、その時代を舞台としたマリカ・ブラインさんの自伝的作品です。
物語は1969年、モロッコのカサブランカに始まります。貧しいが両親と子ども6人が明るく暮らしていた一家の生活は、ビラを配りに行った高校生の長兄アムラが政治犯として警察に拘束されたことで一変、数年後には次兄メディまで捕まってしまいます。家族8人が再びそろうまでの約9年間の日々の生活を、成長期の次女ジマの目を通して描きます。
物語のはじめ、食後の一家団欒で、子どもたちにせがまれた父親が語って聞かせるのが、なんと2ヶ月前にご紹介した『ゴハおじさんのゆかいなお話』に入っており、イスラムの人々の日常生活が身近に描かれています。
(NIMIC会員 根本百合)
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