西東京市多文化共生センター
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     NIMIC通信 No.5(2006年9月)
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┏ [6] キーワードを読む~「多文化共生」について理解を深めるために
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 NIMIC設立の理念の中で大きなウェートを占める「多文化共生」。この言葉をキーワードに、9月号から多文化共生に関わる本の紹介を始めます。最初は、97年出版と少し古いですが、多文化主義、多言語主義が歴史的にどういう経緯で登場してきたか、その理想と問題点を様々な角度から取り上げた本です。
 
『多文化主義・多言語主義の現在 -カナダ・オーストラリア・そして日本』
  西川長夫/渡辺公三/ガバン・マコーマック編 1997 人文書院 (2200円+税)

 この本はタイトルにあるように、多文化主義を国是とするカナダとオーストラリアの実情を知り、そこから日本について考える道筋を示してくれます。
 カナダはケベック州にフランス系移民を多数抱え、さらに、先住民、アジア系住民の増加が新しい意味を加えたことで、1971年に、トルドー首相は二言語二文化主義から二言語多文化主義を提唱しました。オーストラリアは地理的条件と経済的理由から「アジア化」が不可避で、白豪主義から一転して多文化主義を取り入れた国です。2つの国は、かつてともに大英帝国の植民地で、多文化主義の導入は脱植民地化の国際的な連鎖の過程で起きた現象と捉えられます。その際、植民地化で抑圧されてきた先住民の問題にどう対処するかが大きな問題で、その問題について文化や法律面から触れた章もあります。
 いまや世界的な人の移動が進んでおり、同質的国民国家の維持は限界にきているという前提で、多文化主義国家から学ぶ意味は大きいと考えられます。
 多文化主義はエスニックな視点や利害のみに限定された閉鎖的なものではなく、開放的で開かれた社会を志向するもの、社会生活の「民主化」のひとつであるということを教えてくれる本です。
 印象に残った一言:「多文化主義の最も重要な性格は、寛容さと人権の尊重が要求されることである。」


※西東京市多文化共生センター(イングビル1階)にも1冊置いてありますので、 手にとってご覧になれます(閲覧のみで貸し出しはしていません)。


 
 
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