西東京市多文化共生センター
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     NIMIC通信 No.62(2011年6月)
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┏ [7] キーワードを読む
     「多文化共生」について理解を深めるために(57)
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 NIMIC設立の理念のなかで大きなウェートを占める「多文化共生」。この言葉をキーワードに、2006年9月号から多文化共生に関わる本の紹介を始めました。
 第57回目の今回は、スリランカの絵本作家の自伝です。

『わたしのなかの子ども』シビル・ウェッタシンハ著 松岡享子訳
 福音館書店 2011年2月邦訳  ¥2,300

 作者は、1928年スリランカの都市ゴール郊外にある村ギントタで生まれ、6歳までを過ごしました。子どもの本の作家は、自分の幼少期のことを実に細かいことまで良く覚えているのに驚かされますが、この作家の場合もそうです。
 この6歳までの「わたしの一生のうちでいちばん幸せだったとき」を文と絵で描いたのがこの本です。
 スリランカ南部の農村は、緑が深く、一年中花が咲き、果物が実り、魚がとれる豊かな自然のなかでの暮らしです。描かれているのは日常生活のあれこれやお祭り、海を渡って農作物、お菓子、薬や布地、鰹節などを売りに来る、アラブ、インドやモルディブの商人たち。  絵があり、人物・家・家具・道具の細部までよくわかります。
 女性作家なので料理や甘いお菓子の話が多く、よだれの出る本でもあります。金銭的には豊かではないけれど、自然の恵みを生かしながらの穏やかな暮らしとゆったりした時間の流れが、現代の日本に住む私には“楽園”と思える南の島です。
 70数年たった今、島の暮らしはどうなっているのでしょうか。
 ウェッタシンハさんの絵本は、明るくてなんとも言えない穏やかな世界を生み出していますが、その源泉がここにあったのだなと感じた本です。

【絵本】
『かさどろぼう』 猪熊葉子訳 徳間書店
『きつねのホィティ』『ねこのくにのおきゃくさま』『ポッダとポッディ』
    松岡享子訳 福音館書店
『にげだしたひげ』野口忠司訳 木城えほんの郷(福武書店)

     (NIMIC会員 根本 百合)



 
 
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