西東京市多文化共生センター

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   NIMIC通信 No.7(2006年11月)
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もくじ
[1] お知らせ「NIMIC忘年会『留学生との夕べ』」
[2] 講演会のお知らせ「日本語教育から日本語活動へ~多様な活動のヒント~」
[3] 会員より「武蔵野大学留学生日本語スピーチコンテスト」へのお誘い
[4] 講演会報告「外国人の相談に関わって」
[5] 事業の報告「外国人のための無料専門家相談会」
[6] 世界の国々・人々 ~モンゴル②~
[7] キーワードを読む~「多文化共生」について理解を深めるために③
[8] 今後の事業予定
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┏ [1] お知らせ「NIMIC忘年会『留学生との夕べ』」
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 会員のみなさんに入会時に記入していただいた「NIMICでやりたいこと」の中で、「留学生との交流」に対する希望が多く寄せられていました。そこで、今回NIMICの忘年会として、留学生との交流を企画しました。
 NIMIC会員と留学生の交流のための会です。ぜひご参加ください。一緒に楽しいひと時を過ごしましょう!
 
日時:12月13日(水)午後6時30分~8時30分
場所:武蔵野大学 7号館5階会議室(眺めのいいステキな部屋です)
プログラム:楊さんの二胡演奏、武蔵野大学留学生で中国少数民族ドン族ウェイウェイさんの歌と踊り ※食べ物(北京飯店の餃子など)・飲み物あり。1品持ち寄り大歓迎。
会費:会員2,000円/会員以外で当日入会なさる方は年会費込み3,000円(小学生500円)会費は当日受付でお支払いください。 ※留学生は招待(無料)
申し込み:参加なさる方全員のお名前を書いて、11月30日までに以下のいずれかの方法でお申込みください。 (1)メール(info@nimic.jp)、(2)ファックス(FAX:0422‐53‐5350)、(3)はがき(〒202‐0023 西東京市新町1-12-3 西東京市多文化共生・国際交流センター(NIMIC)事務局)

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┏ [2] 講演会のお知らせ「日本語教育から日本語活動へ~多様な活動のヒント~」
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 日本語教育の専門家ではない地域住民が、日本語(学習)活動を通して外国人とかかわることの豊かな可能性について、体験しながら考えてみませんか。

日時:12月9日(土) 午前10時から正午
講師:春原憲一郎さん((財)海外技術者研修協会・AOTS日本語教育センター長)
会場:コール田無2階(田無町3-7-2、西武新宿線田無駅北口より徒歩7分)
共催:西東京市
※事前の申し込み等は必要ありません。当日直接会場へどうぞ。

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┏ [3] 会員より「武蔵野大学留学生日本語スピーチコンテスト」へのお誘い
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 会員である武蔵野大学の堀井惠子先生から「第2回学長杯武蔵野大学留学生日本語スピーチコンテスト」へのお誘いが届いています。

 武蔵野大学の留学生や日本語勉強中の就学生の中から選ばれた10人の外国人の方が、日本で気づいたことや考えたことを日本語で発表します。来場者のみなさんも審査に参加していただきます。また、コンテスト終了後にはティータイムが予定されています。日本再発見やカルチャーショックに出会えるかもしれませんよ!

日時 2006年11月25日(土) 午後1時30分
会場 武蔵野大学グリーンホール1階
内容 日本語スピーチコンテスト、余興(留学生による歌、民族舞踊、京劇)、ティータイム
(武蔵野大学へのアクセス→ http://www.musashino-u.ac.jp/accessmap/index.html)

主催 武蔵野大学日本語教員養成課程
共催 武蔵野大学 留学生の会・国際交流課・大学院ビジネス日本語コース

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┏[4] 講演会報告「外国人の相談に関わって」
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 10月14日(土)午前10時から行われた講演会「外国人の相談に関わって」の模様についてお知らせします。

 1週間後に相談会を控えた10月14日(土)午前10時から12時まで、コール田無に武蔵野市国際交流協会・コーディネーターで外国人相談に9年間かかわっていらっしゃる藤谷純子さんをお迎えしました。
 ご自身の体験にユーモアを交え、時には参加者に問いかけながら、具体的事例に基づき分かりやすくお話いただきました。参加者は専門家相談会や日本語のボランティアを中心に30名余りでした。日本人と同じように外国人の悩みも多様化し、また多言語化している現状で、さまざまな分野の人たちのネットワークの大切さを再認識した時間でした。

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┏[5] 事業の報告「外国人のための無料専門家相談会」
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 10月22日(日)午後1時から4時過ぎまで、コール田無において西東京市で3回目となる「外国人のための専門家相談会」を実施しました。
 当日は、市の職員とNIMIC会員が午前中から個別相談のできる7つのブースの設置など会場設営を始め、お昼過ぎには通訳ボランティアや運営スタッフの方々40名余が集合、さらに弁護士や行政書士、カウンセラー、市の職員など専門的知識で相談に応じられる方々が15名待機しました。
 大掛かりな準備にも関わらず、今回は相談に訪れる外国人の数が少なく、今後に検討課題を残しました。ただ、相談者の中には複合的な問題を抱え4人の専門家が対応する場面もあり、専門家相談会の機能が十分に活かされました。最後に、弁護士の方が待機された方々の労をねぎらい、人権や共生という観点からも持続していくことの大切さについて話され解散しました。
 この相談会では、市民が運営や通訳のボランティアとして関わることで、外国人の抱える悩みや問題を理解することにつながります。また、外国籍市民の活躍の場のひとつでもあります。このことは、今後、地域の財産となっていくことでしょう。

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┏ [6] 世界の国々・人々 ~モンゴル②~
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 「世界の国々・人々」と題したこのコーナーでは、ある国にスポットをあて、その国の文化・人々との交流を、不定期ですが、いろいろな形でお届けしていきます。
 前号に引き続き、NIMIC代表理事であり、武蔵野大学・大学院教授でもある佐々木瑞枝先生の書き下ろしエッセイをご紹介します。

第二回
 モンゴルは印章社会だった

 12世紀から15世紀まで栄えたというカラコルム、当時をしのばせるものは、何もなく、都の四方を支えたという大きな亀が、今も草原の風に吹かれ、「昔の光、今いずこ」であった。

 しかし、私はそこで実に珍しいものを手に入れた。磨り減った印鑑と、表はモンゴル語、裏には中国語で文字が記された貨幣だ。
 それこそは、モンゴル帝国がそこにあった証ではないだろうか。

 大モンゴル帝国(イエケ モンゴル ウルス)は1206年にジンギスハーンによって樹立されている。
 ジンギスハーンというと、武力による帝国統一をイメージしがちだが、私はむしろ彼が作った行政組織と印鑑を多用する社会に注目している。
 もともと遊牧民は文書を残さないし、物にも頼らない。事実、現在のモンゴルの人たちも、そのゲルの中の何と簡素なこと、日本人の何十分の、いや何百文の一のもので生活している。
 ジンギスハーン自身は読み書きは全くできなかったといわれているが、統治者としての才能は、他の国が持っている優れたものを導入する鑑識眼にも優れたものを持っている。
 1204年、ジンギスハーンはナイマン族を攻撃し、ナイマン王の印字を預かるタタトンガを捕虜とした。
 そのタタトンガから、ウイグル文字と印鑑の効用を学び、やがて、モンゴル語をウイグル文字で書き表す方法を開発し、ジンギスハーンはモンゴル語の文書によって、行政組織を固めていったのだ。
 ジンギスハーンの命令は文書で表し、そこには必ず印鑑が押された。後の時代になると、この印鑑が乱用され、印鑑主義社会がモンゴル帝国を包んだようではあるが・・・。

 こういった背景を知っている者にとって、「すり減った印鑑」をカラコルムの古びた店で捜したときの驚きと喜びはわかってもらえるのではないだろうか。

 値段交渉の末、50ドルを支払い、私はその石の大きな印鑑を手荷物にして帰国の途に着こうとしていた。
 空港で、まさにそのとき「この印鑑は持ち出し禁止である」と告げられ別室に案内され、まるで尋問されるように、スーツ姿の6名もの係官に取り囲まれ・・・・。
税関吏
「これはいつの時代のものだと思うか」

「おそらく、13世紀から15世紀のものでしょう」
税関吏
「何と書いてあるか分かるか」

「漢字のようではあるけれど、現在は使われていない文字と字体で私には読めない」
税関吏
「これは貴重なモンゴルの文化財である。持ち出し禁止である」

「それはおかしい、私は50ドルを支払ってこれを買ったのであり、それに、私なら、これを大学に持ち帰り、いつの時代のものか、何と書かれているか、調べることができる」
税関吏
 「あなたが研究者であるという証拠があるか」

 そこで私はハタと困った。証拠・・・・ウーン、そして思いついた、昨年ユネスコ60周年記念でパリで開催されたシンポジウムのプログラムがスーツケースに入れっぱなしになっていたのを。

「スーツケースの中に私の身分を示す資料があるので、出させて欲しい」

 しばらくして、私のスーツケースが運び込まれ、中から私はユネスコのプログラムを取り出した。
 UNESCO・・・まるで水戸黄門の「これが目に入らぬか」のようなインパクトがこのプログラムにはあったようだ。まさにそこには、パスポートと同じ私の名前と講演タイトルが堂堂と記されていたのだから。(実は逃げ出そうにも、パスポートを取り上げられていた)
 しばし、スーツ姿の税関吏たちは黙り込み、それからちょっとヒソヒソ、モンゴル語で相談し、おもむろに
税関吏
 「分かりました。あなたが研究者であることは認めます。しかし、この印鑑は我々の国にとっても、調査すべきものです。すみませんが、2か月だけ預からせてもらえませんか」

 まるで別人のような態度だった。私は麻薬密輸組織の一員であるかのような取り扱われ方から、国賓級の待遇に代わったのを感じた。お茶まで運ばれてきたのだから。

 「私の帰国便はどうなっているのですか。その飛行機に乗り遅れると困るのですが」
 税関吏「分かりました。すぐ飛行機までお送りしましょう」

 なにやら、モンゴル語で書かれた書類を渡され、私は帰国の途に着いた。
果たして、その書類に、何が書いてあるのかさえ分からずに。
 それにしても、モンゴルは国の文化財にきちんと気づいているではないか。日本の江戸時代とは大違いだ、ウーン、などと帰りの飛行機ではハラハラした90分がまるで、映画のシーンのように思い出された。
 実はその印鑑はそんなに大したものではないと思っている。きっと、ジンギスハーンの後に訪れた「印鑑乱用時代」のものに過ぎないだろうと。
 しかし、間違いなく、本物の印鑑なのだ。
 私の手に戻ることはあるのだろうか。

                     武蔵野大学・大学院教授 佐々木瑞枝

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┏ [7] キーワードを読む~「多文化共生」について理解を深めるために③
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 NIMIC設立の理念の中で大きなウェートを占める「多文化共生」。この言葉をキーワードに、9月号から多文化共生に関わる本の紹介を始めました。3回目の今回は、社会生活を営む上で欠かせない「言語」に焦点を当てた一冊です。

『多言語社会がやってきた -世界の言語政策Q&A-』
河原俊昭・山本忠行編  2004  くろしお出版  (2200円+税)

 この本は対象を専門家ではない一般の読者を想定し、107のQ&Aを「第1部 日本編(日本語問題/国内の外国語問題)」、「第2部 外国編(欧米/アジア・アフリカ・オーストラリア)」、「第3部 理論・一般編」の3部構成にまとめてあります。
 執筆者が22名に上ることからわかるように、問題は多岐にわたっています。これだけの知識と理解を得るためにどれほどの本を読まなければならないかと思うと、非常にお得な本と言えます。それぞれのQ&Aは見開き2ページに収まるようにまとめられていて、どこから読んでもOKです。
 「上手な問いかけは、闇の中に埋もれていた問題に正確に光を当てる」と本のはじめに書いてあるように、社会で見えなくなっている問題が上手にあぶりだされていて、知っていることはその捌き方のうまさにうなり、知らないことは整理された形で理解が進みます。

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┏ [8] 今後の事業予定(11月以降)  ※詳細は随時お知らせします。
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12月9日(土) 講演会(予定)★
12月13日(水) NIMIC忘年会「留学生との夕べ」
(2007年)
2月 日本の伝統文化(雅楽) 
3月 春休み子ども対象企画「(仮)たのしい英語!」 
  ★印は、西東京市との共催事業です。

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 今回のNIMIC通信は、いかがでしたでしょうか。みなさまのご意見、ご感想をお待ちしております。
 メールはこちら→→→ info@nimic.jp
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