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NIMIC通信 No.27(2008年7月)
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もくじ
[1] お知らせ「日本語ボランティア・ステップアップ講座②」
[2] 講座のお知らせ「バイリンガル児育成と日本語学習支援」
[3] 報告「留学生ホームビジット」
[4] 講座報告「災害時の外国人支援について」
[5] 講座報告「グローバル採用の現状と外国人の活用を阻む3つの壁」
[6] 事務局より「NPO法人化に関するお知らせ」
[7] 会員より「坂の街・テグシガルパの窓から(13)」
[8] 世界の国々・人々 ~忘れられない旅(16)
[9] キーワードを読む~「多文化共生」について理解を深めるために(22)
[10] 2008年度・今後の事業予定
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┏ [1] 「日本語ボランティア・ステップアップ講座②」
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外国の方から「敬語を教えてほしい」と言われ、対応に
苦慮するという話を日本語ボランティアの皆さんからよく聞きます。
人間関係を近くも遠くもする敬語、私たちはどのように
使いこなしているのでしょうか。
ワークショップも交えて、敬語とその周辺の言葉使い、および
敬語を使う活動について学びます。
日時:7月11日(金)午後2時~4時
会場:田無庁舎202・203会議室
テーマ:「大人社会との関係づくり ~敬語とその周辺の言葉~」
講師:河北祐子氏(東京外国語大学多言語・多文化教育
研修センター学習支援専門員)
対象:現在外国人の日本語学習をサポートしている
ボランティア、及び経験者等
定員:40人
参加費:NIMIC会員無料 非会員1,000円
申し込み:以下の方法で先着順で受付中。
メール:info@nimic.jp?? FAX:0422-53-5350
※この講座は社会福祉協議会の助成金を受けております。
※社会福祉協議会の助成金がおりましたので、第1回の講座を
受けた会員の方は、領収書と引き換えに500円を返金いたします。
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┏ [2] 講座のお知らせ「バイリンガル児育成と日本語学習支援」
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東京都では8組に1組が国際結婚といわれる今、
家庭内で様々な言語が使われています。思考をつかさどる
軸となる言語の重要性と日本語学習支援、子どもの
言語教育について考えてみましょう。
日時 7月13日(日曜日)午前10時~正午
場所 コール田無
※当日、直接会場へ
定員 80人
講師 桶谷仁美さん(イースタン・ミシガン大学)
共催 西東京市
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┏ [3] 報告「留学生ホームビジット」
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昨年に引き続き、西東京市生活文化課の協力のもと、
6月15日(日)、留学生ホームビジットが行われました。今年は
19人の留学生を16家庭のみなさんが受け入れてくださいました。
留学生と受け入れ家庭の皆さんは、当日朝11時に田無庁舎で
対面し、各家庭に分かれて時間を過ごしました。
夕方6時半に、一品持ち寄りで再び田無庁舎に集まり、
短いながらも温かいパーティーで、他の留学生・受け入れ
家庭とも交流をして楽しいひとときを過ごされていました。
アンケートからも、普通の日本の家庭を訪問する機会の
あまりない留学生にとって、今回の留学生ホームビジットが
貴重な体験になったことがわかりました。後日、参加した
留学生から感謝のメールが寄せられましたので、
ご紹介します(原文のまま)。
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武蔵野大学大学院の張 麗媛です。日曜日のホームビジットを
参加させていいただき誠にありがとうございました。メールは
大変遅くなって申し訳ありませんでした。
当日に配ったアンケートを翌日にお送りしました。日本の
方々こういう絶好なチャンスを下さって、ありがたく思って
おります。日本人の家族と楽しく一日を過ごすことが
できたのはNIMICの皆様のおかげです。これから
われわれ留学生を応援してくださった方々への恩返しと
して、もっともっとがんばります。
これでは、またよろしくお願いいたします。
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今後も留学生ホームビジットを実施することができるよう、
引き続き皆様のご協力をお願いいたします。
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┏ [4] 講座報告「災害時の外国人支援について」
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6月15日(日)の午後、多文化共生センター東京の
田中阿貴さんに、災害時の外国人支援についてお話し
いただきました。もともと「多文化共生センター」は、
阪神淡路大震災後の外国人支援がきっかけとなって
組織されたNPO法人ですが、田中さんは新潟県
中越沖地震のときにいち早く現地入りし、多言語情報提供
などを通じて活躍されました。その経験を織り交ぜながら、
災害時には何が必要とされるのか、また、私たちに何が
できるのかを話されました。後半には、難しい書類を
わかりやすく外国の人に伝える方法をグループで話し合う
活動もあり、体験的な学びができました。
災害時以前に日頃からの関係が大切、そして、刻々と
変化していくニーズの中で外国人からよく話を聞き、
ネットワークを使いながら、長期に渡る場合は、特に
一人で抱え込まず、支援していくことが大切とのことでした。
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┏ [5] 講座報告「グローバル採用の現状と外国人の
活用を阻む3つの壁」
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6月28日の午前10時~12時、コール田無において、
外国人社員の採用・活用・育成に関するコンサルティング
サービス等を提供するJAS代表取締役社長・小平達也氏に
よる講演が行われました。
よく取り上げられるインド、ベトナム、中国のエンジニアや
当該国への進出企業について、数字データを用いてその
関係の分析を説明されました。また、聞き取り調査による
価値観の違いは、続く3つの壁の解説とともにぜひ知って
おきたいものでした。
その3つの壁とは、(1)ライフライン(雇用契約等の適応)
(2)対人適応(3)職務適応です。
西東京市内の各ボランティア教室には、この2、3年
IT技術者を始めとするビジネスマンの参加が増えてきている
こともあり、彼らの背景を理解する上で大変興味深い話でした。
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┏ [6] 事務局より「NPO法人化に関するお知らせ」
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6月4日、「特定非営利活動促進法」に基づき、特定非営利法人
(NPO法人)設立の認証の申請に必要な書類を東京都に提出しました。
このたび、7月3日付東京都公報に「特定非営利活動法人
西東京市多文化共生センター」から申請があった旨が掲載されました。
2か月間、定款や設立趣意書、事業計画書等が縦覧され、
同時に認証の審査が行われます。
一般的には、申請の受理からおおむね4か月以内に認証・不認証が
決定され、認証されれば、NPO法人を登記、東京都へ届出という
流れになります。
今後も、NPO法人化に向けた動きは、随時お知らせします。
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┏ [7] 会員より「坂の街・テグシガルパの窓から(13)」
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2006年6月に「西東京市で響きあう ~共演、ガーナの
太鼓・日本の和太鼓~」と題して行ったイベントに協力して
いただいた(お仕事の都合により、残念ながら当日は出演して
いませんでしたが、コーディネート、練習等でご協力
いただきました)「保谷和太鼓会」のメンバーがホンジュラスの
首都テグシガルパに赴任し、現地の様子をリアルに伝える
おたよりを寄せてくださいました。以下にご紹介します。
※テグシガルパは盆地とはいえ、たくさんの丘があり、
坂の多い街だそうです。
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「仕事でしばらくホンジュラスに行ってきます」
友人知人にこう報告すると、返ってくる答えは判で押したように、
「へぇ…で、どこでしたっけ、それ?」
というものでした。
そんな知られざる中米の国、ホンジュラスに来てはや1年。
日々の暮らしで出会った小さな驚き、発見のあれこれを
お届けします。
-悪循環-
前回、この国には暴力や犯罪が多いと書きました。
先日は、外務大臣が酒気帯び運転中に警察の検問に
つかまり、逆ギレして警察に暴力をふるったことが明るみに
なって辞任しました。
ニュースも新聞も、犯罪報道を中心に構成されていると
いって過言ではありません。
私は最初のうちはスペイン語の勉強のために新聞や
ニュースを見るよう心がけていたのですが、最近はちょっと
遠ざかっています。
というのは、血糊や死体のオンパレードを毎日見せられる
からです。
日本なら、せいぜい血跡とか、けが人が運ばれていく
様子などしか報道されませんが、こちらでは、亡くなっている
人の顔、傷口などの映像をそのニュースが終わるまで
巻き戻して何度も流します。
腐敗しかけて蝿が止まっている亡骸や、高所から足を
滑らせて地面に叩きつけられた遺体がブラウン管いっぱいに
映されると、目をそむけずにはいられません。
前に住んでいたアルゼンチンでもこうした映像を見る
機会はありましたが、ホンジュラスはさらに「露出度」が
高い気がします。
これも見せる文化と隠す文化の違いなのかもしれません。
事実を正確に伝えるのが報道の目的だとすれば、
こちらの方がより事実に忠実なのでしょう。それに、過激で
あればあるほど視聴率も上がるのかもしれません。
ただ、こうした映像を見慣れてしまうと、免疫がついて
しまい、罪悪感や恐怖感、もっと言えば暴力や犯罪への
抵抗がなくなってしまうのではないか、という気がして
なりません。
犯罪が多いから報道を目にする機会が多い、報道を
見慣れると犯罪への免疫がなくなる…、この悪循環から
逃れる方法はあるのでしょうか。
(Yuko Watayama)
次号も、「坂の街・テグシガルパの窓から」を掲載します。
お楽しみに!
★2006年「西東京市で響きあう ~共演、ガーナの太鼓・
日本の和太鼓~」の様子は、NIMICのHPでご覧いただけます。
→→→ http://www.nimic.jp/jpn/event/060617.html
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┏ [8] 世界の国々・人々 ~忘れられない旅(16)
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「世界の国々・人々」と題したこのコーナーでは、ある国に
スポットをあて、その国の文化・人々との交流を、不定期ですが、
いろいろな形でお届けしていきます。
引き続き、NIMIC代表理事であり、武蔵野大学・大学院教授
でもある佐々木瑞枝先生の書き下ろしエッセイをご紹介します。
71日間、世界の青年たちとの船の旅
第16回 「エジプトのアレクサンドリアに入港」
船旅の醍醐味は海からその国を見つめられること、
そして第一印象は船から見た国土だ。
船は第二の訪問国エジプトのアレクサンドリアに入港した。
「地中海の真珠」と呼ばれる美しい港町はそれは美しく、長い
船の上の生活から開放される喜びも手伝ってか、船の上には
不思議な興奮の気配が漂う。
「ようこそ、私たちの歴史ある国へ」とエジプトのリーダーが
満面の笑みを浮かべている。さあ、下船だ。
ブラスバンドが歓迎の演奏をする中、我々はタラップを
一段一段降りていく。
私も日除けのパラソルとサングラスで武装しているが、
心のそこから湧き上がる未知の国への期待に心が胸の中に
収まりきらないほど期待に膨れ上がっている。
これがもし、飛行機でカイロの空港に一足飛びに
行ったとしたら、同様の喜びがあったのだろうか。
アレクサンドリア マケドニア王アレクサンドロス大王が、
その遠征行の途上で、オリエントの各地に自分の名を付けて
建設したギリシア風の都市の第1号である。
「地中海の花嫁」とも呼ばれる港町アレクサンドリアでは、
街中に英語の看板も多く、大きなサッカー場もある。
歴史的経緯から多くの文化的な要素を合わせ持ち、
専用バスに乗り込んだ我々の目を釘付けにする。
エジプト警察のパトカーの先導で、一路カイロへ。
サイレンを鳴らしながらパトカーが信号もとならずに
突っ走り、その後に9台のバスが続く。日本では
考えられない光景だ。
われわれは元宮殿であったという、当時では最も
ゴージャスなホテル「マリオット」に落ち着く。
「エジプトに行ったらまずピラミッド」というのは
だれにも共通な思いだろう。
三百人の一行は九台のバスに分乗して、三人の
王たちの「ギザの三大ピラミッド」へ。二十一人のエジプトの
参加青年たちが率先してガイド役をかって出る。「何だか
観光旅行に来たみたいで、気がひけるな」と言う声に
「そんなこと言わずに楽しんで」とエジプトの青年たち。
「先生、ここまできたら、ラクダに乗らなくては」と
へバやモハメッドがけしかける。硬い背中に恐る恐る
跨がったら、いきなりラクダが大きな声で呻いたので、
みんな大喜び。インド訪問のあとタイトなスケジュールに
対する批判が出たためか、今回は時間的にもかなり
余裕のあるものとなった。
(武蔵野大学・大学院教授 佐々木瑞枝)
★これまでに掲載したエッセイのバックナンバーは、
NIMICのHPでご覧いただけます。
→→→ http://www.nimic.jp/jpn/magazine/essay_1.html
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┏ [9] キーワードを読む
「多文化共生」について理解を深めるために(22)
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NIMIC設立の理念の中で大きなウェートを占める「多文化共生」。
この言葉をキーワードに、2006年9月号から多文化共生に
関わる本の紹介を始めました。
22回目の今回は、振り仮名つきの児童書ですが、大人まで
楽しめる一冊をご紹介します。
『いっぽんの鉛筆のむこうに』
谷川俊太郎文 坂井信彦ほか写真 堀内誠一絵
(1989年2月 福音館書店 1300円)
子どもに身近な「鉛筆」を通して、経済・社会のグローバル化を
肌に感じさせてくれる内容です。
スリランカの黒鉛鉱山で働くポディマハッタヤさん、
アメリカ・カリフォルニア州のきこりランドレスさん、木材運搬の
トラック運転手ゴンザレスさん、加工した木材を運ぶ
メキシコ船のコック長シップさん、荷揚げ作業の高橋さん、
三菱鉛筆山形工場で働く大河原さん、文房具屋の佐藤さん・・・
一本の鉛筆が子どもたちの手に届くまでにかかわる
おおぜいの人々の顔、仕事、家族や生活を具体的に
紹介していくことで、外国の人々もぐっと身近になり、大切な
パートナーとして感じられてくる、そんな温かさのある本です。
文章は説明文ですが、簡潔で、音読するととてもなめらかで
読みやすい。それもそのはず、詩人の谷川俊太郎さんが
文章を書いており、端々まで行き届いた本です。
昨年、日本語勉強中の小四少年に読んであげたところ、
長いのによく聞いてくれました。その時は「ふ~ん」だけでしたが、
一週間後、彼は「鉛筆、百円ショップで買ったよ」と
筆箱いっぱいの鉛筆を持ってきました。それまでは
シャープペンシルをカシャカシャさせて、慣れない漢字を
ふにゃふにゃ書いていましたが、鉛筆で筆圧もかかり、
たて線や角がぴしっと定まり、字が上手になったのは
うれしいおまけでした。
二人で一番盛り上がったのはきこりランドレスさんの
食事、「たまご4つ、バナナ1本、ミルク2杯の朝食・・・
夕食にはビールを24缶のむ!」←―「うっそー」
「写真見て!メタボじゃないよ」「何で死なないの?」
「アメリカのたまごはちっさいの?」「まっさか」
・・・間違いなく、私たち二人は、現在の日本を共有しています。
(NIMIC会員 根本 百合)
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┏ [10] 2008年度・今後の事業予定
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※詳細は随時お知らせします。
2008年
7月11日 日本語ボランティア・ステップアップ講座②
7月13日 講演会「バイリンガル児育成と日本語学習支援」 ★
8月2日 講演会「都内リレー専門家相談会から見えてきたこと」 ★
9月20日 日本語ボランティア・ステップアップ講座③
9月または10月 二胡体験教室 ★
11月 市民まつりに参加
11月 日本語ボランティア・ステップアップ講座④
12月13日 外国人のための専門家リレー相談会 ★
12月 NIMIC忘年会
2009年
1月 日本語ボランティア・ステップアップ講座⑤
3月 子ども対象「英語で楽しく!」 ★
子育て中のお母さんのための生活に役立つ日本語講座
(保育付)1期は、5月7日から7月16日まで
※公民館事業に協力
その他、世界の人々のくらし(シリーズで複数回)を
実施予定(時期未定)
★印は、西東京市との共催事業です。
------------------------------------------------- 今回のNIMIC通信は、いかがでしたでしょうか。 みなさまのご意見、ご感想をお待ちしております。 メールはこちら→→→ info@nimic.jp ★NIMIC通信のバックナンバーはこちらから。 http://www.nimic.jp/jpn/magazine/back_number.html --------------------------------------------------
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