西東京市多文化共生センター

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   NIMIC通信 No.29(2008年9月)
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もくじ
[1] お知らせ「日本語ボランティア・ステップアップ講座③」
[2] イベントのお知らせ「二胡体験講座」
[3] お知らせ「子育て中のお母さんのための生活に
 役立つ日本語講座(保育付)」
[4] 報告「子ども日本語教室・中学部」
[5] 事務局より「天津市河西区の小学生との交流事業について」
[6] 生活文化課より「災害時の外国人支援
 ~総合防災訓練への参加に向けて~」
[7] 会員より「武蔵野大学でも日本語指導者・ボランティア育成講座」
[8] 会員より「坂の街・テグシガルパの窓から(15)」
[9] 世界の国々・人々 ~忘れられない旅(18)
[10] キーワードを読む~「多文化共生」について理解を深めるために(24)
[11] 2008年度・今後の事業予定

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┏ [1] 講座お知らせ「日本語ボランティア・ステップアップ講座③」
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 日本語ボランティアの悩みの一つに、非漢字圏出身の学習者に対する
漢字学習のサポートがあります。日本語を母語として育ち、学校教育の
中で時間を掛けて漢字を身に付けてきたボランティアの理解を超えて
いるからです。
 でも、世の中には非漢字圏出身でも新聞を読みビジネス関係の
書類を苦もなく書いているひとたちもいます。「漢字オタク」と冗談交じりに
呼ばれるトーマスさんは、いったいどんな学習方法を使っていらっしゃる
のでしょうか。トーマスさん作成のゲームなども織り交ぜながら、その
学習法を楽しく紹介してくださいます。
 明日からの活動のヒントがたくさん得られると思います。
 
日時 9月20日(土)午前10時~正午
会場 イングビル3階 第1・2会議室
テーマ 「漢字を学習するとは ~非漢字圏出身の方の体験的学習法~」
講師 トーマス・ロウ 氏 (オーストラリア出身)
対象 現在外国人の日本語学習をサポートしているボランティア、及び経験者等
定員 40人
参加費 NIMIC会員無料 非会員1,000円
申し込み 8月20日から以下の方法で先着順で受け付け中。
   メール:info@nimic.jp?? FAX:0422-53-5350

※この講座は社会福祉協議会の助成金を受けています。

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┏ [2] イベントのお知らせ「二胡体験講座」
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 過去二年間で好評だった「二胡体験講座」を今年も、下記のとおり行います。

日時 10月12日(日曜日) 午後2時~4時
場所 田無公民館3階 視聴覚室
定員 15人程度
講師 楊 智さん(中国天津省出身で西東京市在住の二胡演奏家)
定員 15名(申込み多数の場合には抽選)
参加費 1,000円(二胡レンタル料、実費として)
申込み 往復はがきの往信面に、参加者の住所、氏名、電話番号を
明記の上、9月15日~9月30日(必着)までに、
 〒202-8555(住所不要) 西東京市役所生活文化課「二胡体験講座」係へ。
  ※返信面にも、宛先(住所・氏名)を書いてください。
共催 西東京市

★2006年度の講座の様子はNIMICのHPでご覧いただけます。
 →→→ http://www.nimic.jp/jpn/event/061009niko.html

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┏ [3] お知らせ「子育て中のお母さんのための生活に役立つ
  日本語講座(保育付)」
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 保谷公民館では、子育て中の外国人のお母さんのために日本語講座を
ひらいています。
 慣れない日本での生活に不安を感じている子育て中のお母さん。
 一緒に『にほんご』を学びませんか?
※詳しい日程・保育のことについては、保谷公民館でお伝えします。
 
とき 9月10日から12月3日 毎週水曜日午前10時から12時
 ※9月10日は保育のオリエンテーションなど、講座は9月17日から。
ところ 保谷公民館
対象 市内に住んでいる子育て中のお母さん
保育 6か月から学校に入る前までのお子さん。おやつ代1回50円
参加費 無料
申込 9月1日(月)から保谷公民館へFAX、または窓口で受け付けています。
FAXは住所・名前・子どもの名前と年齢・電話番号(連絡先)を書いてください。
 ※保谷公民館FAX:042-464‐8212
協力 西東京市多文化共生・国際交流センター(NIMIC)

A Japanese Language Class is open at Hoya Kominkan. Foreign
Residents raising small children who feel uneasy living in Japan.
Let’s study Japanese together, would you?

※For more information about the schedule and child care service,
please contact the Hoya Kominkan.

When: Starts on 10th September, ends on 3rd December;
Wednesdays 10a.m. -12 noon*
Where: Hoya Kominkan
Intended For: Foreign-resident mothers in Nishitokyo city who are
currently raising children.
Child Care: 6 months old to pre-school age. Snacks fee ? 50 yen/day
Lesson Charge: Free
How to apply: From September1 (Mon), at Hoya Kominkan, directly
 at the office or by FAX writing address, name (as well as child’s name),
 age and telephone number (or contact number).
  HOYA KOMINKAN FAX: 042-464-8212

Collaborated by Nishitokyo Multicultural and International Center(NIMIC)

★2007年度、2008年度前期の講座の様子はNIMICのHPでご覧いただけます。
 2007年度 →→→ http://www.nimic.jp/jpn/event/070725kouminkan.html
 2008年度 →→→ http://www.nimic.jp/jpn/event/080712kouminkan_party.html

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┏ [4] 報告「子ども日本語教室・中学部」
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 昨年スタートした「子ども日本語教室」が、一周年を迎えました。
 振り返れば教える技を磨いて成長した!? 私たちボランティアスタッフと、
勢いよく身長を伸ばし、笑顔と使える言葉の増えた子どもたちがいます。
 先月の小学部に続いて、今月は中学部からの報告です。

 7月に行なわれた多文化共生センター東京主催の「高校進学ガイダンス」へ
子どもと行って来ました。保護者と行った子もいて、高校へ進学することの
大切さと難しさを実感してくれたのではないかと思います。
 いわゆる6・3・3・4制度の説明から必要な家庭ですから、ここで日本の
義務教育や都立高校の特長について多言語でまとめた冊子をいただける
のはとてもありがたいことで、欠席した子どもの分も購入し、渡しました。
 その後、宿題の完成に重点をおいた「前期夏休み教室」をつつがなく終え、
8月の平日最後の3日間に「後期夏休み教室」を行ったところ、「どうして
こんなに大変な宿題を最初に持って来ないの!?」と子どもたちそれぞれに
向かって叫ぶような有り様でした。
 実は昨年も同じ傾向があったため、今年は最初に「どんな宿題があるのか、
難しいのはどれか」一覧表に記入させたのです。その時は「簡単な宿題が
多かった」などという答えだったのですが・・・・・・。
 それなのに、何故、原稿用紙3枚分の意見文や、歴史新聞作成といった
難題が8月末に初登場なのでしょう?
 これらは、テーマの方向性や書き方に指示のある自由課題なので、彼らが
興味を持てるテーマを一緒に探すところから始めなくてはなりません。
 子どもと話し合ってテーマを決め、さらに適切な資料を探すために図書館を
活用し、あっというまの3日間となりました。
 なんとか先生に宿題を提出できそうな形で終えることができたのは、
「この子にはこういう形で話をすれば理解が早いだろう」といった子どもの
個性を把握できるようになった一年の成果の賜物ではないか、と思います。
こういう形で成果を確認できずとも良いのですが・・・・・・。
 夏休み教室最終日には、和太鼓の発表会も行われました。残念ながら
宿題に追われたりして練習に参加できた中学生が少なく、小学生のみの
演奏発表となりましたが、元気のいい演奏を、楽しく拝聴しました。
 中学生にとっては、小学生に混じっての練習等が恥ずかしかったようです
が、和太鼓自体はとても楽しかったようで、丁寧に、絵つきのお礼状を書いて
いました。その際、「大人からもお礼を述べるべきだ」と言われ、私たちも手紙を
書きました。
 また、小学生が嬉々としてお礼状を渡す姿に、自分の気持ちを手紙で自信を
もって伝えられるようになってきたのだと成長を感じ、嬉しかったです。
 勇壮な和太鼓に魅せられて「これからも続けたい」と話す小学生もいて、
とてもよい経験をさせていただいたと感謝しています。
 中学3年生になった子たちは、いよいよ受験が近づき、目の色が変わって
きました。
 彼らの将来に明るい灯を点すお手伝いができますよう、学校選択の材料
集めを含め、スタッフも奮闘中です。こうした情報をお持ちの方は、ぜひお知らせ
ください。
  (子ども日本語教室・中学部  徳丸 由利子)

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┏ [5] 事務局より「天津市河西区の小学生との交流事業について」
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 先にお知らせしたこの事業は、当初、12月に実施をする予定でしたが、
双方の都合により、3月に延期することになりそうです。
 音楽や、絵画、書などの特技を持った小学生が10名程度、来市する
予定ですので、できるだけ多くの、発表・交流の場を持ちたいと考えて
います。
 交流に重点を置いて、小学校訪問や、ホームステイ・ホームビジットも
プログラムする予定です。
 北京オリンピックの開催などで、より中国に関心をもたれた方も少なくない
のではないでしょうか。
 いろいろな形で、ご協力いただければ幸いです。
 (天津市は、北京から特急列車で30分程度のところです。)

※天津市河西区との交流のきっかけについては、NIMIC通信No.20を、
また、理事による天津市河西区訪問については、NIMIC通信No.24を
それぞれご覧ください。

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┏ [6] 生活文化課より「災害時の外国人支援
  ~総合防災訓練への参加に向けて~」
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 西東京市の外国人登録者数は9月1日現在3,161人を数え、人口に
占める割合は1.63%で5年前に比べるとおよそ1.3倍となっており、
比例して言語や文化・習慣などの違いから災害時に支援が必要な人が
増えています。
 市ではこれまで、災害時の外国人支援については危機管理室が
中心となり多言語版の防災パンフレットを配布するなど取り組みをして
きましたが、いざ災害が発生した時を考えると万全とは言えません。
 今年の6月に「災害時の外国人支援」をテーマに講演会をNIMICと
共催した際に震災時のボランティア活動実績がある講師が「行政と外国人
支援団体との日頃からの関係が災害時にいきてくる」と発言されました。
担当としても新たな取り組みをしなければとの思いから、講演のあと
早速、危機管理室に話をしたところ、今年の3月に地域防災計画が
見直されており、防災担当部署としてもより一層取り組まなければと
考えていたところでした。
 そこで8月30日に予定されていた総合防災訓練に外国人と支援団体の
みなさんにも参加を呼びかける運びとなり、各日本語教室に声をかけ、
訓練に向けて準備を進めてきました。はじめは、参加者がいないのではと
危惧していましたがボランティアスタッフのみなさんが積極的に外国人にも
声をかけてくださったおかげで、合わせて10人が参加を希望されました。
 雨天が続いたため、残念ながら訓練は中止となってしまいましたが、
これまでの準備の過程がいざという時のための関係づくりの一歩に
なったと思います。来年こそは天候に恵まれ、訓練が実施できることを
願っています。
  (西東京市生活環境部生活文化課  林 真輝)

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┏ [7] 会員より「武蔵野大学でも日本語指導者・ボランティア育成講座」
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 文化庁の施策にそって、「生活者としての外国人」のための日本語教育
事業が進められています。この秋から、地元の武蔵野大学でも市民講座として
次の2講座が始まります。
 (1)退職教員を対象にした日本語指導者養成講座
 (2)ボランティアを対象とした実践的長期研修

 いずれの講座も10月14日から、約半年にわたり実施されます。どちらの
講座も受講料無料です。
 応募要項など詳しくは、以下の武蔵野大学ホームページをご覧ください。

(1)退職教員を対象にした日本語指導者養成講座
 http://www.musashino-u.ac.jp/ao_general/various/lifelong_study/kouza/nihongo01.html
(2)ボランティアを対象とした実践的長期研修
 http://www.musashino-u.ac.jp/ao_general/various/lifelong_study/kouza/nihongo02.html
  (NIMIC理事 種村政男)

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┏ [8] 会員より「坂の街・テグシガルパの窓から(15)」
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 2006年6月に「西東京市で響きあう ~共演、ガーナの太鼓・日本の
和太鼓~」と題して行ったイベントに協力していただいた(お仕事の
都合により、残念ながら当日は出演していませんでしたが、コーディネート、
練習等でご協力いただきました)「保谷和太鼓会」のメンバーがホンジュラスの
首都テグシガルパに赴任し、現地の様子をリアルに伝えるおたよりを
寄せてくださいました。以下にご紹介します。
※テグシガルパは盆地とはいえ、たくさんの丘があり、坂の多い街だそうです。

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 「仕事でしばらくホンジュラスに行ってきます」
 友人知人にこう報告すると、返ってくる答えは判で押したように、
「へぇ…で、どこでしたっけ、それ?」
というものでした。
 そんな知られざる中米の国、ホンジュラスに来てはや1年。
 日々の暮らしで出会った小さな驚き、発見のあれこれをお届けします。

-空港騒動(その1)-
 「ニュースでやってたよ、大丈夫?!」と日本の友人から突然のメール。
 ホンジュラス滞在1年半にして、「日本のニュースで見た」という話を
聞いたのは初めてで、私にとってはそのこと自体が大事件でした。
 ニュースとは、首都テグシガルパで起きた航空機事故。旅客機が滑走路を
オーバーランして一般道路に飛び出し、5人の死者を出しました。
 テグシガルパは盆地であるうえに、市街地に隣接する空港は長い滑走路が
造れず、着陸するパイロットにとっては難易度の高い空港の一つなのだ
そうです。実際、飛行機に乗っていても、タイヤが地面に触れるや否や
キキーッと前につんのめるようにして急ブレーキをかけて止まるので、
過去に何度も事故を起こしているという話もうなずけます。中南米では
飛行機が無事着陸すると乗客が拍手するシーンをしばしば見かけますが、
この空港に着くと拍手をする気持ちが本当によくわかります。
 日本で報道されたくらいですから、ここホンジュラスでも事故のニュースは
生中継され、無残に折れ曲がった機体から人々が救出される様子などが
映し出されました。
 とはいえ、どんな事件でも1週間もすれば人々の記憶から薄れていくもの
です。事故を起こした機体も10日ほどで除去され、首都に日常の風景が
戻りました。
 しかし、本当の混乱はそれから起こったのです。
  (Yuko Watayama)

 次号も、「坂の街・テグシガルパの窓から」を掲載します。
お楽しみに!

★2006年「西東京市で響きあう ~共演、ガーナの太鼓・
日本の和太鼓~」の様子は、NIMICのHPでご覧いただけます。
 →→→ http://www.nimic.jp/jpn/event/060617.html

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┏ [9] 世界の国々・人々 ~忘れられない旅(18)
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 「世界の国々・人々」と題したこのコーナーでは、ある国にスポットを
あて、その国の文化・人々との交流を、不定期ですが、いろいろな形で
お届けしていきます。
 引き続き、NIMIC代表理事であり、武蔵野大学・大学院教授でもある
佐々木瑞枝先生の書き下ろしエッセイをご紹介します。

71日間、世界の青年たちとの船の旅

 第18回 「『観光名所』のストライキ」

 ギリシャのビレウス港に船は錨をおろした。私たちは8台のバスに
分乗して、古代ギリシャの面影を残すアクロポリスの丘に向かう。

 季節は冬。2月なのだから寒いのは当然といえば当然だが、インド洋や
オマーンといった夏の国からいきなり冬の国に放り込まれた感じだ。

 青年たちは引き出しの輿から冬服を取り出して、がっちりと着込む。私も
晴海埠頭を出航するときまで着込んでいたセーターやコートを引っ張り出す。

 冬の身づくろいを終えて、いざアクロポリスの丘へ。ところが入り口で
我々は入場を拒まれてしまった。入場券売り場には「ストライキ決行中」の
看板が立ち、ネズミ一匹と押さない厳戒態勢だ。

 考えてみれば古代遺跡は国の文化財だから、ここで働いている人たちは
国家公務員ということになる。彼らは賃上げを求めて時限ストライキの最中
だったのだ。

 「先生、私たちにまかせてください。世界の青年たちが見たがっている
アクロポリスを、まさかストライキといって閉鎖するのはおかしい」、ギリシャの
青年がいくらプログラムの趣旨を説明したところで、入場を阻む「国家公務員
殿」にとっては、馬の耳に念仏。ストはストなのだ。

 「午後三時においで。ストは3時までだから」の言葉に8台のバスは
引き返す。今日はバスも電車もストのため、道は非常に渋滞している。

 「私達はスト慣れしているの。ギリシャの経済状態は最悪だもの、
無理ないでしょ」とソフィー、「でもストが解決策になるとは思えないけど」とK君。

 K君は彼の持論を展開させたが「経済大国の人には、理解出来ない
でしょうね」と言われて一言も無い。日本で観光施設がストで閉鎖など、
聞いたことがないからだ。

 午後、木枯らしの中をパルテノン神殿へ。「ソフィー、経済は今度にして
写真とって」 「OK、続きはこの後ね」私たちは風の吹き抜ける白い神殿で
ポーズをとる。

 「それにしても、こんなストライキをしていたら、ギリシャ経済は落ち込む
ばかりでしょう」経済談議はしばらく続きそうである。
     (武蔵野大学・大学院教授 佐々木瑞枝)

★これまでに掲載したエッセイのバックナンバーは、NIMICのHPで
ご覧いただけます。
 →→→ http://www.nimic.jp/jpn/magazine/essay_1.html

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┏ [10] キーワードを読む
    「多文化共生」について理解を深めるために(24)
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 NIMIC設立の理念の中で大きなウェートを占める「多文化共生」。
この言葉をキーワードに、2006年9月号から多文化共生に関わる本の
紹介を始めました。
 24回目の今回は、イランの人々の喜怒哀楽、生の感情が感じられて、
「同じ人間なんだ」と強く共感できる本をご紹介します。

『ペルセポリス Ⅰ ―イランの少女マルジ―』  2005年6月 1,400円
『ペルセポリス Ⅱ ―マルジ、故郷に帰る―』  2005年6月 1,500円
        マルジャン・サトラピ著 園田恵子訳 バジリコ 

 著者は1969年生れのイラン女性、現在はパリに住み、イラスト
レーター・作家として活躍している。原書はフランス語で、一見
ちびまるこちゃん風マンガの形式なのですが、児童書ではありません。
 Ⅰ巻はテヘランで育った著者の少女時代の回想記です。イラン人の
家庭生活が描かれた本としても珍しいですが、それを取り巻く社会環境も
すごい。パーレビ王政の時代、イスラム革命がおき社会が大きく変わり
始め、イラン・イラク戦争が始まり、やがてスカッドミサイルが飛んで
来るようになり・・・。そんな中でも反抗期のマルジ、学校の先生に反抗して
退学になり、単身オーストリアへ留学する所(14才)で終わる。
 Ⅱ巻はマルジの4年間のオーストリア留学生活からはじまる。
友情・恋など青春の悩みと孤独に加えて、混迷するイランへ向けられる
欧州社会の冷たい視線・・・アイデンティティを見失ってどん底の状態で
帰郷する。が、やがて立ち直り、テヘランの大学で美術を学び、結婚・離婚を
へて、再度美術の勉強のためフランスへ旅立つ(24才)まで。
 この本は、非常に明確な階層社会であるイランの、教養あるお金持ち
家庭の話です。が、オリンピックにも登場してこないイスラム女性本人
からのメッセージに接したのは、私には初めての体験であり、新鮮でした。
もっともっと様々な考え方や感じ方が発信されてくるとおもしろいことでしょう。
 どん底のマルジがテヘランでテレビを見ると、日本のドラマ「おしん」が・・・
思わぬところで日本も登場。

 著者の監督によりアニメ映画化されて、2007年度欧米各地の映画祭で
ノミネートされ、話題になりました。2008年10月にはDVDが発売されます。
  (NIMIC会員 根本 百合)

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┏ [11] 2008年度・今後の事業予定 
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※詳細は随時お知らせします。
2008年
9月20日  日本語ボランティア・ステップアップ講座③
10月12日 二胡体験教室 ★
11月8日、9日 市民まつりに参加
11月  日本語ボランティア・ステップアップ講座④
12月13日 外国人のための専門家リレー相談会 ★
12月 NIMIC忘年会
2009年
1月 日本語ボランティア・ステップアップ講座⑤
3月 子ども対象「英語で楽しく!」 ★

子育て中のお母さんのための生活に役立つ日本語講座(保育付)
2期は、9月17日から12月17日まで
※公民館事業に協力
その他、世界の人々のくらし(シリーズ(複数回)を実施予定(時期未定)

  ★印は、西東京市との共催事業です。

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 今回のNIMIC通信は、いかがでしたでしょうか。
みなさまのご意見、ご感想をお待ちしております。
 メールはこちら→→→ info@nimic.jp
★NIMIC通信のバックナンバーはこちらから。
 http://www.nimic.jp/jpn/magazine/back_number.html
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発行・編集
 西東京市多文化共生・国際交流センター(NIMIC)事務局
住所 〒202‐0023 西東京市新町1-12-3
FAX 0422‐53‐5350
e-mail info@nimic.jp
ホームページURL http://www.nimic.jp/
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