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NIMIC通信 No.48(2010年4月)
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もくじ
[1] NIMIC代表理事より「新年度のごあいさつ」
[2] 事務局より「2010年度NIMIC総会のお知らせ」
[3] 事務局より「2010年度会費納入のお願い」
[4] お知らせ「多言語ボランティアを募集します」
[5] お知らせ「『留学生世代横断的交流事業』実行委員を募集」
[6] お知らせ「NIMIC韓国語勉強会が始まります!」
[7] 事務局より「多文化共生センター窓口相談員兼
事務員募集の延期について」
[8] イベント報告「第4回 英語で楽しく!」
[9] 報告「NIMIC子ども日本語教室 初めての
小学部卒業生を送り出して」
[10] 報告「NIMIC子ども日本語教室 中学部」
[11] 文化振興課から「多文化共生についての
電子会議室を開設しました」
[12] NIMIC理事会だより(4)
[13] 世界の国々・人々 〜多文化に生きる(8)
[14] キーワードを読む
「多文化共生」について理解を深めるために(43)
[15] 2010年度・今後の事業予定
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┏ [1] NIMIC代表理事より「新年度のごあいさつ」
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NIMIC会員の皆様へ
今年も日本に春がめぐってきました。
世界で、四季の移り変わりのある国はどのくらいなのだろうと思いを
巡らします。
NIMICは2010年度も多文化共生に向けてさまざまな活動を行って
いきたいと存じます。皆さんが積極的にNIMICの活動にかかわって
くださることで、西東京市、東京都、そして日本全国へと、多文化共生の輪が
拡大していくと思います。
どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
NIMIC代表理事 佐々木瑞枝
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┏ [2] 事務局より「2010年度NIMIC総会のお知らせ」
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NIMICの2010年第1回通常総会を以下のとおり開催します。会員の
皆さまはぜひご出席ください。
また、総会終了後には、1時間程度茶話会を予定しています。
あわせてご参加ください。
日時:5月23日(日)午後2時〜
場所:田無公民館第2学習室
※詳細は次号でお知らせします。
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┏ [3] 事務局より「2010年度会費納入のお願い」
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平素はNIMICの活動にご支援・ご協力いただき、誠にありがとうございます。
NIMICも設立から5年目、「西東京市多文化共生センター」窓口の運営も
週5日オープンすることとなり、活動の幅も一層広がってきているところです。
NIMICの活動は、皆さまお1人お1人のご支援に支えられています。
2010年度会費の納入を、下記の口座によろしくお願い申し上げます。
お1人の個人会員から家族会員に移行される方は、会員番号が変わり
ますので、その旨事務局へご連絡ください。
家族会員は ご夫婦と18才以下のお子様が対象です。それ以外の方は、
個人会員でのご登録をお願いいたします。
口座名はいずれも「NPO法人 西東京市多文化共生センター」です。
1.みずほ銀行ひばりが丘支店 普通預金口座 2386979
2.三菱UFJ銀行田無支店 普通預金口座 0034665
3.ゆうちょ銀行保谷支店 郵便振替口座 00170−5−585196
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┏ [4] お知らせ「多言語ボランティアを募集します」
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4月1日より、多文化共生センター窓口は週5日オープンし、多言語対応も
できる態勢を整えていく予定です。そこで、NIMICでは、多言語ボランティアと
してセンター窓口、通訳派遣登録(交通費等支給)、ホームページ多言語化
(英語・中国語・韓国語)、地域生活に関する印刷物翻訳(多言語)の
各ボランティアを募集します。
応募は、お名前、言語名、ご希望の活動を書いてセンターに申し込んで
ください。後日登録カードをお送りします。またご相談ご説明は、随時センターで
行っています。水曜日か金曜日の午前10時〜正午、午後1時〜4時にお越し
ください。
申込み: NIMIC事務局 info@nimic.jp
† ※タイトルを「多言語ボランティア」としてください。
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┏ [5] お知らせ「『留学生世代横断的交流事業』実行委員を募集」
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NIMICでは以下のように留学生と様々な世代の市民との交流事業を
シリーズで開催します。実行委員としてご協力いただける方を募集します
ので、ぜひご参加ください。
(1)留学生ホームビジット
6月27日(日)午前11時対面、午後は各家庭で、午後6時30分から
交流パーティー
(2)留学生と小学生の多文化ワークショップ
8月6日(金)と7日(日) 午後の3時間 きらっとで
(3)1と2の報告展示会
8月19日(木)〜21日(土) アスタセンターコートで
上記(1)〜(3)の事業実施のために実行委員を募集します。委員は、月に
2〜3回のミーティングをしながら準備を進めます。後日、当日サポーターも
募集します。
詳しくは第1回ミーティングでお尋ねください。
第1回実行委員ミーティング
日時:4月16日(金) 午後3時〜5時
場所:イングビル3F 第1会議室(田無庁舎隣)
※この事業は市のNPO企画提案事業として補助金を受けて実施します。
採用決定日の関係から、募集案内が遅くなりましたが、ご理解をお願いします。
申込み: NIMIC事務局 info@nimic.jp
†※タイトルを「留学生実行委員」としてください。
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┏ [6] お知らせ「NIMIC韓国語勉強会が始まります!」
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韓国の文化や歴史を視野に入れながら、韓国語を学びましょう!
日時:5月17日(月)〜 毎月2回、原則として第1・第3月曜日
午後7時〜8時30分
※5月は31日も開講、6月7日・21日、7月5日・26日、9月以降も開講
場所:西東京市多文化共生センター(イングビル1階)または
イングビル3階会議室
対象者:韓国語を初めて学ぶ人、初めからやり直したい人ならどなたでも
定員:15人
※応募者多数の場合は、5月17日(月)初回に勉強会の趣旨説明後、抽選
講師:Shin Gyu Sub(シン・キュソブ)さん
費用:実費(未定、些少の予定)
申し込み:5月10日(月)までに、タイトルを「韓国語勉強会」とし、以下まで。
FAX:042-461-0381
e-mail:kouza@nimic.jp
問い合わせ:NIMICセンター窓口 TEL:042-461-0381
月〜金 午前10時〜正午、午後1時〜4時
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┏ [7] 事務局より「多文化共生センター窓口相談員兼
事務員募集の延期について」
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平成22年度、多文化共生センター窓口は週5日オープンし、多言語対応も
できる態勢を整える予定です。そこで、NIMICでは、センター窓口相談員兼
事務員を募集します。
ただし、前号のNIMIC通信No.47(3月10日配信)でお知らせしていた
「センター窓口相談員兼事務員を募集」記事の市報掲載は、4月15日号に
なりました。
募集期間は4月15日〜23日です。
西東京市の平成22年度予算成立が3月30日にずれ込んだため、募集
時期が延期になりましたことをご報告します。
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┏ [8] イベント報告「第4回 英語で楽しく!」
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3月13日(土)“きらっと”で、第4回「英語で楽しく!」が開かれました。
年少から小学校1年までの53名の子ども達がグループに分かれ、英語で
簡単な会話やゲームをしたり、最後には保護者も参加して歌にあわせて
踊ったりと、英語に触れながら楽しい時間をすごしました。
講師は、ルースさん(フィリピン)、パレイさん(トンガ)、ラディアさん
(インドネシア)の3人で、英語にふれるのが初めてのお子さんもいらしたの
ですが、講師の方々の明るく親しみやすい人柄からか、泣きそうだった子も、
小さな声しか出せなかった子もだんだん元気な声を出せるようになりました。
また、隣室では保護者用のプログラムとして、日本の小・中学校で学ぶ
外国から来た子どもたちの現状説明や、「NIMIC子ども日本語教室」で
使用している教材が展示されました。クイズ形式の日本語学習問題に挑戦
してみて、初めて日本語を学ぶ難しさを感じられたようでした。
(NIMIC子ども日本語教室 石坂みどり)
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┏ [9] 報告「NIMIC子ども日本語教室 初めての
小学部卒業生を送り出して」
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NIMIC子ども日本語教室の本年度の活動も3月29、30、31日の春休み
教室で無事終了しました。現在は初の卒業生を送り出し中学部に引き継いで
いるところです。
昨年度は児童もスタッフも大増員。一年で児童はイング教室が7名から
10名に、谷戸小教室が2名から7名に、スタッフも市の講座受講者の受け
入れで倍の約20名になりました。両教室に通う児童もおり、4月からは
イング教室8名、谷戸小教室5名で活動開始です。
スタッフは週1回のマンツーマン学習の他に、七夕、夏休み教室、和太鼓
教室、年末のお楽しみ会、卒業式等の行事毎に担当を決め、工夫を凝らして
楽しい教室運営を心がけています。
先日の卒業式では、下級生とスタッフの言葉を添えた手作りのカードを
卒業証書と共に手渡しました。胸に花をつけた卒業生たちは、はにかみ
ながらも立派に自分の言葉でスタッフへの感謝を込めた挨拶をしてくれました。
入室時に比べて大きく成長した彼らの姿に私たちは深い感動を覚え、それを
糧として再び新学期の活動をスタートさせます。
(NIMIC子ども日本語教室小学部 伊東淳子)
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┏ [10] 報告「NIMIC子ども日本語教室 中学部」
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2009年度、NIMIC子ども日本語教室中学部は1年生4名、2年生1名、
3年生4名でスタートしました。彼らは母国語の生徒さえ苦戦する中学校の
授業をこなしつつ、日本語の習得もしなくてはいけない非常に厳しい毎日を
送っていました。
彼らをサポートする私たちは、日本語だけを教えるのではなく、学校で困った
ことを解決していくことにも力を注ぎました。その結果、日本語力が思うように
上達しないという状況が生まれる子もいました。
特に受験を控えた生徒達は大変でした。中学校からもらってきた複雑な受験
システムの資料の説明や、高校の学校説明会への参加の確認、後半は入試の
面接の練習も、たくさんの方たちの協力でより実際の面接に近いような模擬
面接を経験してもらいました。
このように日本語教室のはずなのに、じっくり日本語の勉強に取り組む時間が
なかなか取れない日々でした。
幸い無事に全員が進路も決まり、ぴかぴかの高校生になることが出来ました。
これが今年1年間やってきて、反省だらけの中の光でした。今後も試行錯誤を
繰り返しながらサポートをしていきます。
(NIMIC子ども日本語教室中学部 梶谷裕子)
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┏ [11] 文化振興課から「多文化共生についての
電子会議室を開設しました」
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市では、市や市民の方の交流の場の一つとして電子会議室を設置して
います。これは、市のホームページ上の掲示板で、ご意見を投稿したり、閲覧
することができます。
今回こちらに多文化共生をテーマとする会議室を2つ開設いたしました。
書き込みには利用登録が必要ですが、閲覧はどなたでもできます。皆さまの
ご意見や体験談をお待ちしております。ぜひご参加ください。
西東京市Web http://www.city.nishitokyo.lg.jp
(1)あなたの国際交流の体験談
ご自身の海外渡航経験やボランティア経験、市内での外国人との触れ合い、
外国から西東京に来て感じたことなど、異なる文化に触れたときの驚きや
楽しさを聞かせてください。
さまざまな情報を交換したり、共有することで、ネットワークが広がるなど
新しい出会いがあるかもしれません。
また、市としても市民の皆さんがどんな形の国際交流に関心をお持ちなのかを
知ることで、今後の事業展開に役立てていきたいと考えています。
(2)外国人に伝えたい西東京の良いところ
西東京市に住む外国人の方に伝えたい、市内のおすすめスポットや生活に
役立つ情報などを教えてください。
市民の皆さん同士の情報交換の場としてご活用いただくとともに、外国語版
生活便利帳(リビングガイド)改訂の際には掲載内容の参考にするなど、市と
しても国際交流事業に役立てていきたいと考えています。
※平成22年4月1日から、スポーツ部文化振興課が担当となりました。
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┏ [12] NIMIC理事会だより(4)
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1月から始まった理事会だよりも4回目になります。会員の皆様に少しでも
早くNIMIC全体のことを知っていただくには理事会の内容をお届けするのが
一番と思い、理事たちが輪番で担当しています。3月17日に行われた
理事会では、主に2009年度のまとめと2010年度の計画が話し合われました。
また、今回も西東京市生活文化課の水口主事がオブザーバとして参加しました。
春の風と共に皆さまの元へお届けできればと思います。
■主な報告事項
・ 3月13日実施の子ども対象「英語で楽しく」は非常に好評だった。
・ 外国の人が多文化共生センターにぶらりと立ち寄り、おしゃべりを
したいという要望があった。日本人にも同様の要望があるので、出会いの
場が必要だろう。
・ 窓口対応は1人体制なので、急病のときは情報を連絡網に乗せ窓口を
閉めることもやむを得ない。回避策を今後検討する。
・ 窓口多言語ボランティアの協力者が、サポートハウス年輪で中国帰国者
高齢者の話し相手として中国語で活躍中。
・ 3月7日の「NPO市民フェスティバル」(会場:きらっと)に、NIMICを含めて
市内30団体の出展があり賑わった。
・ 3月3日、09年度企画提案事業のふりかえりが、企画政策課・生活文化課・
NIMICの3者で行われ、事業の協働効果が高かったことが確認された。
地域社会の変容には市議会などへの啓発的働きかけが有効と考えられる
ので、その場の設定を市に依頼した。次年度の企画提案継続部門の
プレゼンテーションが4月7日に行われる。
・ 翻訳、窓口通訳、出張通訳、ホームページの多言語化などの連携を目指し、
多言語部会の組織が改編された。
■主な審議事項
・ 09年度事業、決算報告案と10年度事業計画・予算案について審議し、
大筋で合意した。
■生活文化課より
・ 2010年度センター窓口業務委託について説明。
・ 多文化共生についての電子会議室開設の紹介があった。
地域活動を始めて17年、小さな輪が広がり今は150名余という大きな輪の
中で課題解決のための活動ができることに感謝しています。NIMICの理念と
皆さんの声を大切にしながら活動がぶれないよう理事会でもしっかり意見交換を
していきたいと思っています。
(副代表理事・事業担当 山辺真理子)
【通訳ボランティア対応】
2010年4月1日から、センターが開いている時間帯は以下の多言語
対応をしています。ただし、4月のみ中国語対応が午前か午後になって
いますのでご注意ください。
英語 月・水・木・金曜日、第1火曜日
中国語 金曜日(2日・16日・30日は午前10時〜正午、9日・23日は
午後2時〜4時)
4月の予定(上記以外)
台湾語 9日・23日 午後2時〜4時
韓国語 23日・30日 午前10時〜正午
中国語、英語、韓国語でのサポートが必要な方がいらっしゃいましたら、
ぜひ、この情報を提供してください。
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┏ [13] 世界の国々・人々 〜多文化に生きる(8)
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「世界の国々・人々」と題したこのコーナーでは、ある国にスポットを
あて、その国の文化・人々との交流を、不定期ですが、いろいろな形で
お届けしていきます。
現在、オーストラリア・国立マッコーリー大学 元日本学科長チャオ・埴原
三鈴先生によるエッセイを連載しています。
多文化に生きる
8回
我が家は私を除いて全員医者である。次女は外科医。外科は緊迫した
手術が多い。特別大変だった手術が終わると、偉い先生が若手外科ティームを
率いて、ねぎらいと緊張をほぐすため高級レストランに夕食に連れ出すことが
ある。そんな一夜、素敵な夕食が終わり、緊張もほぐれて皆歓談していた。
話に加わりながら、娘はコーヒーと一緒に出たチョコレートの金紙で鶴を
折っていた。彼女は幼い頃から折紙が好きだった。手先が器用で数センチ角の
小さな紙からも見事な折紙を作った。本人が外科を選んだのも、この手先の
器用さに無関係ではないようである。
皆の話を聞きながらうつむいて鶴を折っていた娘は、急に周りがシンとした
ので「何事か」と顔を上げた。皆の視線が彼女の手元に集まっていた。何の
変哲もないちいさな金紙から鶴ができたのに皆びっくりしたのである。娘は
照れてしまった。「お里が知れた」というところであろうか。皆同じオーストラリア
生まれの同僚達であった。しかし、ひょんなところで文化背景が出た訳である。
多文化以前に育ったお年寄りの先生たちは余計びっくりしたらしい。
かつてはアングロ・サクソンが主流を占めていた医者の世界であった。今は
変わり、急速に多文化になった。便利なこともある。例えばクリスマス。
年間を通じて最も重要な休日で皆家族と一緒に過ごす。しかし医者はそうは
いかない。患者をほっておくわけにはいかない。だれが当直するか。多くの
場合、キリスト教徒でない、例えばイスラム教徒やヒンドゥ教徒の医者が
率先して当直を引き受け、キリスト教徒の同僚が休暇を取れるようにする。
ではラマダンはどうであろうか。ラマダンはイスラム教徒にとって大切な
行事である。ラマダンの間は夜明けから日没まで断食で、水を飲むことさえ
許されない。何時間も立ちっぱなしの外科手術など体力的に大変である。
この期間はイスラム教以外の医者たちが交代で助ける。断食明けには必ず
家に帰れるよう気を配る。
長女がインターンを終えて間もない頃、救急につめていた。運ばれてきた
のはアラブ系の男性であった。病院は手をつくしたが、その甲斐なく亡くなった。
その男性には若い奥さんがあり、子供も幼かった。急報に集まった両親、
お年よりの親族などで病室は一杯になった。激しい嘆きの中で言葉は全部
アラブ語に代わった。泣き叫ぶ親族たちに囲まれて、若い娘はどうしていいか
分らなかった。その時、後ろからそっと肩をたたかれた。背の高いもの静かな
その男性はサウジ・アラビアから客員で来ていた専門医であった。「ここは僕に
任せなさい。あなたは行った方がいい。」 娘を部屋の外に導いて背後で
ドアを閉ざした。
後でその話を聞いた私は、「この国で医者になるには、医学知識だけでは
とても足りない。あらゆる文化を許容できる大きな人間の幅が必要になる。」と
考えこんでしまった。
(チャオ・埴原三鈴〈Misuzu Hanihara Chow〉)
★これまでに掲載したエッセイのバックナンバーは、NIMICのHPで
ご覧いただけます。
→→→ http://www.nimic.jp/jpn/magazine/essay_1.html
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┏ [14] キーワードを読む
「多文化共生」について理解を深めるために(43)
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NIMIC設立の理念の中で大きなウェートを占める「多文化共生」。
この言葉をキーワードに、2006年9月号から多文化共生に関わる本の
紹介を始めました。
43回目の今回は、日本とブラジル、地球の反対側に位置する二つの国を
行き来しながら成長する少女とそれを見守る親の思いが書かれた本です。
『ブラジルから来た娘タイナ 十五歳の自分探し』 小貫大輔著 小学館
2002.11 1,600円
著者は性教育の専門家です。日本の大学院卒業後、サンパウロ郊外で
ルドルフ・シュタイナーの思想に基づき様々な活動を行う「モンチ・アズ−ル」
というグループで5年間ボランティア活動に従事、エイズ予防に尽力しました。
そこでブラジル女性と結婚、3人の娘の親となり、その後も日本、ブラジルや
ヨーロッパなどを行き来して活動しています。
長女タイナは激しく日本とブラジルを行き来しながらバイリンガルに育ち
ました。日本の高校を受験、無事受かり1学期間そこへ通うのですが、夏に
一人でブラジルへ帰っていきました。家族と離れてのブラジルでの生活、
日本での高校受験などは、本人の希望を受けて家族で話し合って決めたもの
です。
彼女の教育を考える中で浮かび上がるたくさんの問題や外国の情報などが
いろいろとでてきますが、教育の専門家である著者も自分の娘については
ハラハラしながら見守るしかないその姿に、共感しました。終り近くに、高校
受験の作文の練習のためにタイナが書いた文章がいくつか載っていますが、
自分の考えを端的に表現していて、とてもしっかりしており、彼女はどこに
行っても大丈夫と感じさせます。せっかく日本の高校に入ったのに、また
ブラジルへ戻ることを選んだ理由は、思春期で人間関係の広がる時期に
友人ができなかったこと。それでは日本にいて母国へ帰る選択肢のない
多数の子どもたちはどうしたらいいのでしょうか。私たちは違う解決方法も
見つけなければなりません。
(NIMIC会員 根本 百合)
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┏ [15] 2010年度・今後の事業予定
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※詳細は随時お知らせします。
2010年
5月23日 NIMIC総会
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今回のNIMIC通信は、いかがでしたでしょうか。 みなさまのご意見、ご感想をお待ちしております。 メールはこちら→ info@@nimic.jp(@マークをひとつ削除してお使いください) ★NIMIC通信のバックナンバーはこちらから。
http://www.nimic.jp/jpn/magazine/back_number.html --------------------------------------------------
========================= 発行・編集 NPO法人 西東京市多文化共生センター(NIMIC)事務局 住所 〒202‐0023 西東京市新町1−12−3 FAX 0422‐53‐5350 e-mail info@@nimic.jp ホームページURL http://www.nimic.jp/ =============================
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