西東京市多文化共生センター

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  NIMIC通信 No.140(2018年4月号)
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┏ [13] キーワードを読む
    「多文化共生」について理解を深めるために(134)
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 NIMIC設立の理念のなかで大きなウェートを占める「多文化共生」。
 この言葉をキーワードに、2006年9月号から多文化共生に関わる本の紹介を始めました。
 第134回目の今回は、中学生位から大人まで対象とするノンフィクションをご紹介します。

ぼくらは壁を飛びこえて  ~サーカスでつながる人種・民族・宗教~   シンシア・レヴィンソン著  金原瑞人訳 文溪堂 2016.2

 「シルク・ドゥ・ソレイユ」などの活躍により、今や、世界的な人気をほこるエンターテインメントとして認められたサーカス。
 アメリカ合衆国のセントルイス・アーチズとイスラエルのガリラヤ・サーカスにも、そんなサーカスに夢をかける子どもたちがいた。
 黒人・白人・ユダヤ人・アラブ人…ふだんは接触する機会のな い社会階層や対立する民族の子どもたちが、おたがいの違いを認めながらも、 協力し、様々な「壁」をのりこえ成長していく様子を描いた感動のノンフィクショ ン。(表紙見返しより)
 この本に取り上げられている二つは、プロのサーカス団ではなく、ユース・ ソーシャル・サーカス(若者による、社会的に意味のあるサーカス団)、つまり、 様々な若い人々を結びつけることを目的に活動しているのです。
 セントルイスの場合で言えば、まず、サーカスを見て面白そう、やってみたいと思った少年 少女に、アクロバットやバランス芸、ジャグリング等の基礎を週一回地域で教 えたり、夏休みにサーカスキャンプを行う独立非営利団体〈サーカス・ハーモ ニー〉の活動があります。
 この中からサーカスに夢中になり、次々に技をマスターする子どもがでて、中級・上級コースに進み、一定レベルに達するとセン トルイス・アーチズ(セミプロ集団)のメンバーになり、様々な所で公演を行い拍手を浴びます。
 サーカスを教わっているティーンが700人いる中で、このセントルイス・アーチズに属するのはわずか10人程ですが、高校卒業後サーカ ス学校へ入り、プロのサーカス団員として活躍する子もいます。
 この10人は肌の色、家庭の状況、学校も様々で、サーカスでなければ、決して出会うこと の無かった子どもたち。
 しかし、彼らが行う空中ブランコやアクロバット、ジャグ リング、人間ピラミッド等の複雑なパフォーマンスは、パートナーに対する強い 信頼があって初めて成功できるのです。
 もう一方のイスラエル国内には、ユダヤ人(80%)とアラブ人(20%)が暮らし ていますが、言葉・宗教・生活習慣・住んでいる場所・学校等すべてが違い、交 わることはありません。
 しかし、子どもたちに共通の体験をと考える大人たちがいて、 ユダヤ人とアラブ人の子どもたちを集めてサーカス教室を開き、その中か らガリラヤ・サーカスが生まれました。
 そしてこの二つの複雑なサーカスが、なんと2007年から2012年にかけて 二つの国を行き来して合同公演を行ったのです! これはすごいことです!  340頁もあり、大勢の子どもが出てくるのでやや読みにくいですが、興味のあ る方は是非お読みください。
                        (NIMIC会員 根本百合)



 
 
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