西東京市多文化共生センター


 
 NIMICのくらしの情報多言語版のまとめ役として、また、各種イベントで大活躍された白根祐子さんが、ご家族の都合でアメリカはシカゴ近郊に転居されました。現地からのレポートをお届けします。

<NIMIC通信2014年9月~2015年11月掲載>

 


アラ還からのアメリカ生活

 1回 

第1回 グレンビュー
 主人のアメリカ転勤で、約20年ぶりに海外生活をすることになりました。前回はメキシコシティーで、その時健康診断でアメリカに行くことはありましたが、生活をするというのは初めてです。

 これから何回アメリカレポートをお届けしたいと思います。「えっ、白根さんそんなこと知らなかったの!」と思われてしまうかもしれません。
 アラ還になって、英語の勉強も一から出直しのおばさんのキョロキロ・ドキドキアメリカ話です。

 私が住んでいるところはシカゴからメトラという2階建ての近郊列車に乗って、40分のグレンビューという街です。グレンビューといってもどのあたりかイメージがわかないので、「シカゴに行く」と言って日本を出てきました。
 アパートの前には小さな湖がある公園が広がっています。近所はこじゃれたブティック、カフェがあり、歩いて地元のスーパーにも行けるという、住みやすい街です。時々、子ウサギやリスを見かけたりします。
 グレンビューでは3階建が一番高い建物なので、空が広く感じます。
 寒い冬が来る前に、湖の周りを歩いて、緑を満喫したいと思います。
   (グレンビュー自宅にて 白根 祐子)

    

 

 2回

 Let’s play KENDO
 アパートの前の公園に Park Center という建物があります。
 フィットネス、プール、体育館、セミナールーム等がはいっています。
 そこで剣道クラスを見つけました。交流のきかっけになればと、主人と二人、防具と竹刀を持ってきたのでさっそく申込みました。
 9月9日から12月16日まで、毎週火曜日午後6時半から8時までです。先生は韓国人(6段)です。他のメンバーは、先生の息子さんと娘さん、大人数名(アメリカ人、韓国人、)、少年・少女たちです。日本人は私たち夫婦だけです。先生が韓国人なので、準備体操の掛け声、めん・こて・どう、挨拶は韓国語です。
 面は「モリ」、小手は「ソモゥ」、胴は「ホリ」です。めん・こて・どうは世界共通と思っていたので、ちょっとびっくりしました。
 先生の指導は英語です。稽古に夢中になると、日本語で「め~ん」。
 韓国語に変換している暇はありません。16歳のナラさんが稽古の相手になってくれました。25年(それ以上?)ぶりの剣道でしたが、なんとか動けました。
 ナラさん「カムサハムニダ」。

 Halloween
 9月中旬、スーパーやホームセンター、インテリアショップに行くと、ハロウィーンの衣装や飾り物、子供たちにあげるバラ菓子がいっぱい売られています。ハロウィーンというと、オレンジ色のかぼちゃのイメージが強いです。スーパーの入り口に山になっています。
 仮装の衣装として、魔女や骸骨がかなりリアルな感じで吊るされています。その付属として、黒猫や蜘蛛、コウモリが大小あります。パーティ用のグラス、ランチョンマット、ナプキン等もかぼちゃや黒猫、コウモリがデザインされています。我が家は、骸骨はなじめないので、かぼちゃのマグカップに魔女の帽子をかぶせたものと、ワインのボトルを「Trick or Drink」と刺繍された袋に入れて飾ってあります。
 ハロウィーングッズは8月の下旬からお店にぼちぼち並び始めました。最初それを見たとき、ハロウィーンがピンときませんでした。
 わかったら、今度は「まだ早いのでは!」と思いました。でもだんだん見慣れ、今では、お店ごとのデコレーションの仕方とか、グッズの違いを見るのが楽しくなりました。ハロウィーンが近くなったら、小さな魔女たちのために、お菓子を買っておこうかと思います。
   (グレンビュー自宅にて 白根 祐子)
 

 

 3回

 日本食品事情
 平日は歩いて地元のスーパーに買い物に行きます。そこで椎茸(生・干)、 白滝、醤油、カップラーメン、うどん、そば、酢、冷凍ギョウザが買えます。お店によっておいてある品物が違いますが、アメリカのスーパーで大根、味噌、インスタントみそ汁、海苔、お菓子、カレールウが買えることがわかりホッとしました。ルウの箱に電子レンジでの作り方が書いてあったのは、さすがアメリカ仕様です。週に1回、日本食のスーパーに行きます。切り身魚、納豆、うす切り肉(牛、豚)、油揚げ、さつま揚げなどよく買います。店内に手作りパン屋さんがはいっていて、アンパン、クリームパン、コロネ、惣菜パン、食パン等売っています。お店に入ると、目移りしてしまいます。お昼用に惣菜パンを買うことが多いので、好きなクリームパンは買えず、売っているだけで幸せと思うことにしています。
 韓国スーパーにも行きました。店舗の大きさ、品数は新大久保の韓国市場なんてものではありません。圧倒されつつ、味付け焼肉とキムチを買ってきました。1パックの量が多いので、1週間に3回夕食は焼き肉でした。

 食洗器と乾燥機
 アパートの入居時に、不動産屋さんから食洗器とディスポーザーは機械のためにも、1週間に1回は使ってくださいと言われました。今まで自分のキッチンで食洗器もディスポーザーも使ったことはありませんでした。2人分の食器だから、食洗器は必要ないだろうと思ったのですが、機械のためにと1度使ったら、おおっ!なんと便利なことでしょう。それ以来、夕食後の後片付けに使っています。ディスポーザーは小さい生ゴミを、グィ~ンと細かくして流してくれているようですが、結果が見えないので、食洗器ほどの感激はありません。
 もう一つ不動産屋さんに言われたことは、ベランダに洗濯物を干さないでくださいということです。干していると、ご近所からクレームがつくらしいです。そう言われて、散歩のときほかの家のベランダを見てみると、バーベキューセットやテーブル・イスセットは置いてありますが洗濯物は一軒もありませんでした。晴れていても、雨でも洗濯物を乾かすのは、乾燥機です。
 日本でも浴室乾燥機がありましたが、梅雨時や冬の日差しがないときくらいしか使いませんでした。お天気を気にしないで洗濯ができるのはいいですが、ときどきお日様がもったいなくなります。
   (グレンビュー自宅にて 白根 祐子)

 

 4回

 アルコールとID
 私がグレンビューに来る前に、長女(30歳・既婚)と次女(28歳・パリ在住)が遊びに来ていました。娘たちと主人が近所のカフェで食事をした時のこと。長女はワインを、次女がビールを注文したのですが、二人ともIDの提示を求められました。シカゴでは飲酒可能な年齢は21歳からです。近所でしたのでパスポートを携帯していませんでした。次女はお財布にフランスの学生証が入っていたのでそれを見せました。次女はビールを飲めましたが、長女はソフトドリンクになってしまいました。日本の感覚でアルコールを注文できません。それから、娘たちは食事に行くときはIDは必携となりました。親が一緒に買いに行ったり、食べに行っても求められました。
 ある時、スーパーで食料品やワインを買い、レジに行きました。ワインのバーコードを通すとき、レジのお姉さんが自分より年上の人にレジを代わってもらいました。ワインが終わると、またもとのお姉さんがレジを担当。お酒を売るほうも21歳以上でなければならないのです。
 それ以来、アルコール類を買うときはおじさん、おばさんのレジに並ぶことにしています。しかし、先日絶対21歳以上だろうと思って並んだレジのお兄さん、先輩のお兄さんに代わってもらっていました。大人びた20歳だと思いながらお金を払い、Have a nice day.と言われ帰ってきました。

 運転免許の取得
 11月5日にイリノイ州の運転免許を取得しました。運転免許試験にはソーシャルセキュリティーナンバー(社会保障番号)が必要になります。8月下旬に申請したのですが、手違いで手続きが止まっていました。10月になってようやく番号がもらえました。試験は自分の車(ない人はレンタカー)で受けます。府中にバスや電車で一人で行くようなわけにはいかないので、10月のある日、主人に半日休みをとってもらいました。
 諸手続きを済ませ、まずは筆記試験。35問中34問正解でOK。
 次に路上実技試験です。走る前にライトやブレーキランプ、クラクションが正常に作動するかを確認します。それもOK。試験官が助手席に乗り込み、いざ路上へ。なんと左折するとき、進入禁止の所に入ってしまい、不合格。左ハンドル、右側通行なので、左折、右折の仕方が日本と違います。普段はちゃんと曲がっていたのに。
 試験申し込みのとき、30ドル払います。そうすると1年以内に3回試験が受けられます。ということで11月5日に再度チャレンジ。
 筆記試験は免除です。今回の試験官は前回の人よりゆっくりわかりやすく指示してくれたので、落ち着いて運転することができました。試験官によって、試験の内容が違うようです。私は坂道駐車の仕方や、バックして方向転換もしたのですが、主人や知り合いの方は二つともしなかったとのこと。なにはともあれ、合格の紙をもらったときは、ほっとしました。試験はいくつになってもドキドキものです。
 免許を取得したことで、パスポート以外の身分証明証ができてひと安心です。
   (グレンビュー自宅にて 白根 祐子)
 

 

 5回

 クリスマス
 以前、クリスマスのニューヨークに旅行した友人から、クリスマスイブ、クリスマスにレストランが休みで夕飯を食べるのに苦労をしたという話を聞きました。12月24日、本当にレストランがお休みになるのか、夕方スーパーへ行ったり、午後6時ごろアパートの近所を歩いてみました。
 郵便局は午前中でクローズ。スーパーはいつも夜12時まで開いているのに午後8時まで。近所のお店やレストランもほとんど早じまい。
いずれも25日は休みです。いつもいっぱいの駐車場は閑散とし、人通りもまばら。
 イブの夜レストランでお食事なんて考えていると、食べそこなう可能性大だと痛感。
 我が家はロティッサリーチキンをスーパーで買い、うちイブ食としました。

 紅白歌合戦
 こちらではテレビジャパンというケーブルテレビが入っています。NHKから民放の番組まで一日中放送しています。プログラムはテレビジャパン任せなので、選択の余地はありません。シカゴ時間31日午前4時15分から紅白歌合戦がLIVE 放送されます。LIVEは魅力ではありますが、午前4時からお酒なしに観るのもつまらないし、夫は出勤かもしれません。ということで午後8時からの再放送を年越しの夕食と共に観ることにしました。ゆく年くる年も引き続き再放送されます。いつもの大晦日と変わりません。

 休暇
 日本では、年末年始の休暇が9連休になる人もあるとか。
こちらはお正月休暇より、クリスマス休暇のほうが大切ですから、24日から28日までお休みの人が多いです。そのかわり、年末年始は1月1日だけお休みで、あとは通常勤務です。

 日本では、夜中に田無神社に初詣に行き、甘酒をいただくのが楽しみでしたが、今年は1月1日の朝、寝室から見える初日の出に1年の計を誓います。
 2015年も引き続き拙文にお付き合いください。どうぞよろしくお願いします。
   (グレンビュー自宅にて 白根 祐子)
 

 

 6回

 Wind Chill
 今年のシカゴの冬は、去年に比べて雪も少なく、暖かいようです。
 こちらに長くいらっしゃる人からは、いい冬に来たと言われました。
暖かいと感じるのは、最高気温が氷点下1桁の時です。ある日、お日様が出ていて、風もあまり吹いていなかったので、運動のためと思い、歩いて20分のスーパーマーケットに行こうとしました。舗道は除雪されていませんでした。足跡がついていません。どうも歩いた人はいないようです。5分ほど歩くと体が寒くなってきました。そこへ「どこへ行くの?」とアメリカ人の女性が車から声をかけてくれました。
 「スーパーに行く」と言ったら、「私も行くから乗りなさい」と言われ、図らずも見ず知らずのおばさんの車に乗せてもらいました。とても寒そうに見えたとのこと。あとで考えたら「救助」された感じです。
 帰りは歩きました。手袋をしているのに指先はどんどん冷たくなるし、口元までマフラーをしていたのですが、目元は風にさらされているのでだんだんこわばってきました。なんとか無事家に戻りました。あとで話をきいたら、その日はWind Chillという注意報が出ていて、風が冷たく、外に出ると凍傷や低体温症になる恐れがあるとのことでした。 お日様が出ているからといって油断できません。この日以来、スーパーマーケットもジムも車で行っています。

 部屋干し
 こちらに来てから、洗濯物は乾燥機で乾かしていました。冬になり暖房が入るようになってから、部屋の乾燥予防のため、薄いものは部屋干しをするようにしています。シーツやバスタオルなど、大きく厚いものは今まで通り乾燥機です。
 出かけるときなど、洗濯物全部を乾燥機で乾かすことがあります。
 そうすると乾燥機で乾かしたほうが、部屋干しよりふっくら仕上がっています。う~ん、考えてしまいますが、ここしばらくは部屋干しをメインにしていこうかと思っています。
   (グレンビュー自宅にて 白根 祐子)
 

 

 7回

 セントパトリックデー(St Patrick’s Day)(3月17日)
 シカゴに来て7か月が過ぎました。
 その間、ハロウィン、感謝祭、クリスマス、バレンタインデーのイベントがありました。かぼちゃ、七面鳥、サンタクロース、赤いハートが、街中、スーパーマーケット、デパート、家々の庭先を飾りました。
 それらを見るのが楽しく、うきうきした気分になっています。実は、クリスマスが終わった時、それから先のイベントがわからず、寂しい気持ちになりました。
 しかし、1月に入りデパート行ったら、バレンタインデーのハートグッズ、イースターのウサギに卵グッズが並んでいます。またうきうき気分に戻りました。
 ハートとウサギに加えて、見慣れない三つ葉のクローバーをモチーフにしたスカーフやアクセサリーがありました。プレートに「セントパトリックデー」と書いてありました。「セントパトリックデー」、聞いたことないので調べてみました。
 5世紀のアイルランドにキリスト教を伝えた聖パトリックを記念したお祭りです。当初はアイルランド系アメリカ人がお祝いしていましたが、現在はアメリカ各地で盛大にパレードが行われています。
 クリスマスより盛り上がるそうです。特にアイルランド系住民が多いニューヨーク、ボストン、シカゴのパレードは有名です。
 日本でも表参道でアジア最大と言われるセントパトリックデーのパレードがあるそうです。初めて知りました。
 アイルランドでは国民の祝日になっています。聖パトリックがキリスト教の三位一体の教えを説くのにシャムロック(クローバー)を使ったことから、緑色がシンボルカラーとなっています。
 緑色グッズがたくさん飾ってあったわけです。ネットの写真を見ましたら、シカゴ川、スポンジケーキ、パンケーキ、パレードの衣装、ビールが緑一色でした。
 その日は学校や公共のオフィスでは緑の服を着るそうです。いつも行く郵便局の職員さんたちも緑の服を着るのか・・・手紙を出しに行こうと思います。
 クローバーのほかに、ラプリカン(小人)、シャラリー(木の小づち・小人の持ち物)もシンボルです。この日は、コンビーフ、キャベツ、アイルランドシチュー(濃い肉汁で料理された子羊と玉ねぎとジャガイモ)がよく食べられます。
 アパートから歩いて1分の所にアイリッシュパブがあります。17日はさぞかし賑わうことでしょう。ラプリカンの帽子のピアスをつけて、緑色のビールを飲んでみたいと思います。
   (グレンビュー自宅にて 白根 祐子)
  

 

 8回

 セントパトリック・デー後日談
 アパートのまわりの雪も解け、車のタイヤをスタッドレスから普通のタイヤに換え、コートも薄手のものにし、すっかり春モードです。
 さて、3月号にセントパトリック・デーのお話を書きましたが、ダウンタウンのパレードを見物できたので、その様子をお知らせしたいと思います。
 14日(土)にシカゴのダウンタウンでパレードが行われることをコミュニティ誌で知りました。ちょうどダウンタウンで夜用事があったので、早めに行きパレードを見ることにしました。駅を出たら、緑色の帽子をかぶったり、Tシャツを着たり、靴下をはいたりと、緑づくめの人が大勢いて、テンションも高くなっていました。主人と私も、緑色が入った洋服を着、途中で緑色のネックレスも買って、会場に行きました。
 正午にパレードが始まりました。バグパイプの演奏、アイリッシュダンスを踊る女の子たち、ハイスクールのマーチングバンドなどを100以上の団体が、車や山車(車が引く)、馬車を仕立てて囲み、歩いていました。
 パレードを見終わったのは、午後2時40分でした。それから、ネットで見た緑色のシカゴ川を実際に見に行きました。本当でした。鮮やかな緑色でした。環境には問題ない染料とのことです。噴水も緑色でした。
 その後、バーでひと休み。緑色のビールを注文しました。くすんだ緑色でした。でも味はちゃんとビールでした。薄めの感じ。2杯目のギネス(アイルランド発祥)のほうがおいしかったです。緑一色の1日でした。
 17日のセントパトリック・デー当日、郵便局に手紙を出しに行きましたが、職員の人たちはいつもと変わらない格好でした。緑色はどこにもありませんでした。
 夜、アパートの前のアイリッシュパブに行くと、さすがはアイリッシュパブ、お店の人たちは緑の帽子をかぶり、Tシャツを着てサービスしていました。
 この店には緑のビールはありませんでした。ダウンタウンで飲んでおいてよかったです。メインはアイリッシュソーセージとコンビーフとキャベツの煮込みにしました。コンビーフは日本のコンビーフの缶詰とは違い、肉とハムの中間みたいな感じです。
 スーパーの野菜売り場ではキャベツが山になっていました。
 初めて体験したセントパトリック・デー。ギネスビールを飲むたびに、緑のシカゴ川を思い出すでしょう。
  (グレンビュー自宅にて 白根 祐子)
 

 

 9回

 コーヒー好きですが・・・・・・
 5月6日でこちらに来て9か月がたちました。英語で話すのは恥ずかしながらいまだおぼつきませんが、車の運転、買い物にも慣れ、郵便局やクリーニング屋さん、ジムの受付の人とも顔馴染みになりました。
 しかし、一つ馴染めないことがあります。スーパーやブティック、デパート、いたるところでコーヒーのテイクアウトのカップを持って買い物している人がいることです。蓋はしてありますが、いっぱい入っているときは飲み口から出てくることもあります。スーパーのカートにはカップを入れるスペースがあります。確かに、よく行くスーパーには必ずカフェやファストフードが併設されているので、カップのスペースは必要かもしれません。
 スーパーの店内は広いですから、コーヒーをこぼしても大惨事にはならないでしょうが、ブティックやお土産物屋さんの狭い店内で見かけるとハラハラしてしまいます。何かの拍子に品物にかかったりしないだろうか心配です。カップを商品の棚に置いたままになっているのを見たこともあり、唖然としました。
 実は私も1回だけ、飲み切れずカップを持ったまま、ギフトショップに入ってしまいました。コーヒーが飛び出ないか気が気でなく、手元ばかり見ていました。それ以来、飲んでカップを捨ててから買い物をするようにしています。
 コーヒーのある生活は、日本より日常的だと思います。シカゴのダウンタウンを歩いていても、カフェの数はとても多いです。アパートから歩いて2分の所にカフェがあり、コーヒー好きの私にはうれしい限りです。
 有名カフェやベーカリーで使用しているコーヒー豆をスーパーで手軽に買えるのも、コーヒータイムの楽しみです。そろそろアイスコーヒーの季節になってきました。  (グレンビュー自宅にて 白根 祐子)
 

 

 

 10回

 To Go
 各地の梅雨入りの話が出ているころと思います。シカゴは5月中は半袖より長袖の服を着ていることが多かったです。
 さて、前回は、コーヒーを飲みながら買い物するのはなじめない話をしましたが、今回は、すぐなじんだことをお話ししたいと思います。
 「To Go」です。レストランなどで食べきれない料理を、プラスチックや発泡スチロールの容器に入れて持ち帰ることです。今まで行ったことのあるアメリカのレストランの80%が、1品1品の量が多いです。前菜、サラダ、スープ、メインと頼んでいたら、メインが出てくる前にお腹がいっぱいになってしまいます。何度か失敗し、今ではスープとメインだけ頼むようにしています。それでも食べ始めると、メインを完食できないことがあり、「To Go」となります。お店のほうも心得たもので、容器を持ってきてくれるか、一度下げて容器に入れてきてくれます。
 昨年の秋ニューヨークへ行ったとき、ホテルの近くのステーキ屋さんをネットで予約しました。その時、ステーキの写真が出てきて、一人では食べきれない大きさと分かりました。幸運にも、ホテルの部屋に冷蔵庫と電子レンジがついていたので、ステーキの「To Go」を見越して家からパンを持って行きました。予想通り、お肉は大きく、サイドディッシュのほうれん草のバター炒めも山盛りでした。見ただけでお腹がいっぱいになった感じで、食べ始めて3切れでご馳走様。美味しいのですが、おなかがきつくて切なくなりました。もちろんステーキとほうれん草はお持ち帰りに。2日間、朝食はステーキサンドの部屋食でした。
 豪華といえば豪華ですが・・・・・・。
 時々、小ぶりのお肉や少なめの盛り付けのお店にあたるとホッとします。
 アメリカ人も結構「To Go」しているので、みんながみんなあの大量の料理を完食しているわけではありません。最初から盛り付けを少なくすればと思うのですが、そうもいかないのでしょうか。完食する人を基準とした量なのかなと、勝手に解釈したりしています。
 「To Go」は自己責任のもとにしています。翌日の朝食、昼食に食べても、今のところお腹を壊したことはありません。食べ物を残すことに罪悪感を覚える私にとって、お持ち帰りをできるのは、お腹にも心にもうれしいことです。
 (グレンビュー自宅にて 白根 祐子)
 

 

 

 11回

 アメリカのボランティア教室
 シカゴも本格的な夏になってきました。若い女の子たちのショートパンツにタンクトップ姿がまぶしいです。
 さて、話は前に戻りますが、今年1月から毎週木曜日に英語のクラスに行き始めました。3月からは金曜日にも行くことにしました。
 木曜日と金曜日は違うクラスですが、運営の中心となっているのはどちらも教会や教会に関係している方たちです。二つの教室とも大体同じような時間割なので、木曜日クラスの様子をお話しします。
 昨年9月4日から今年5月21日までを3学期に分けて、教室が開かれました。1学期毎に登録料として50ドル払います。
 クラスはレベル1~7まであります。数字が大きい方が上級者です。
 私は、連絡をとった先生がレベル4だったご縁で4に入りました。
 学習者は1クラス5~8人くらいです。駐在員の奥さんたちが多いです。
保育も完備しています。
 受付、英語の先生、保育担当はボランティアの方々です。毎回の流れは次のようになっています。
9:15~9:30 コーヒータイム
受付の方たちがコーヒーとお菓子を用意してくれて、各自コーヒーを持って、クラスに行きます。
9:30~10:30 英語の授業
私のクラスは旅行、趣味、ペットなどテーマを決めて話し、その都度文法の勉強もします。
10:40~11:00 バイブルタイム
レベル7の先生が聖書の中の1節を取り上げ、日本語で話してくれます。
11:00~11:40 その日によって、料理講習会、英語を使ってのゲームなどいろいろ。学習者の交流の時間でもあります。

 5月21日は授業の後、1品持ち寄りパーティーがありました。教会に体育館があり、全員集まりました。テーブルには、プロ並みのデザート、おこわからのりまき、そばサラダ、肉料理等手の込んだお料理が並びました。私は自分が食べたかったので、おはぎを作りました。
 ボランティアのおじいさんが作ったスパム寿司が印象的でした。クラスの人たちとゆっくりおしゃべりもでき、美味しく楽しいひとときでした。9月からまたどんな人たちと出会えるか楽しみです。
 (グレンビュー自宅にて 白根 祐子)
 

 

 12回

 図書館カードを作る
 8月6日で、シカゴに来て1年がたちました。風邪一つひかずごせたことがうれしいです。先月お話しした英語クラスは夏休みなので、今は別の夏休み限定の英語クラスに行っています。教室は図書館のミーティングルームを使っています。この英語クラスで、初めてアメリカの図書館に行きました。今まで、どうせ英語の本ばかりで縁がないと思っていましたが、大違いでした。
 私が行ったシャンバーグ図書館は近隣の街の中で一番大きい図書館です。2階建てで、1階はフィクション、DVD/CD、キッズゾーンがあり、2階はノンフィクション、アニメ、ミーティングルームがあります。
 DVD/CDのコーナーには、英語だけでなく、30か国以上のものが揃っています。日本のDVDだけでも300枚以上ありました。A~Zまでタイトルをローマ字読みにして並べてありました。Zは座頭市シリーズでした。
 2階のノンフィクションには、やはり世界各国の言葉で書かれた本があります。日本語の本は作者のアイウエオ順(浅田次郎さんから山崎豊子さんまで)で並べられ、500冊近くあります。しかし、外国語の本で一番多いのは韓国語の本です。DVDはそんなに多くないのですが、韓国語の本が一番多いのは自宅のあるグレンビューの図書館でも同じです。シカゴでは、中国人、韓国人、日本人の中で韓国人の占める割合が一番大きいのです。そのことからも、韓国語の本が多いことに納得がいきます。
 キッズゾーンは、14歳以下の子供とその保護者、関係者が利用できます。
 児童図書の多さもさることながら、テーブルセットが至る所にあり、本を読んだり勉強したりできます。子供用パソコンも20台以上置いてあります。普通におしゃべりしてOKです。
 図書館カードを作るには、IDカードと公共料金か銀行、クレジット会社の通知の2種類が必要です。名前と住所の確認のためです。銀行から主人との連名で来た通知があったので、それと免許証を持って行き、図書館カードを作りました。試しに英語で書かれた本を2冊借りてみました。
 貸出期間は3週間、貸出数のLimitはないようです。返却日を更新しないと、1日10セントの延滞料金をとられます。
 返却日まで読み終わりそうもありませんが、とりあえずながめています。
 (グレンビュー自宅にて 白根 祐子)
  

 

 13回

図書館のプログラム

 9月に入り、陽ざしや吹く風に秋の気配を感じます。今年のシカゴの夏は短かったようです。さて、今月もアメリカの図書館の話を少ししたいと思います。
 夏の間通ったシャンバーグの図書館のプログラムガイドを見てみました。6、7月号で、シャンバーグの街は、富山県の滑川市と姉妹都市ということがわかりました。その関係で7月に「Shall we ダンス?(1996英語字幕付き)」の上映や琴と尺八の演奏会が開かれました。
 プログラムの内容は大人向け、ティーンエイジ向け、子ども向けにわかれています。例えば大人向けの場合、本に関することだけではなく、健康、ガーデニング、料理、アートなどの講座の紹介があります。
 バス・トリップの募集もあり、8、9月号ではミシガン湖の花火大会やランチクルーズはSold Outになっていました。
 コンピュータの講座はWindows、Word、Excelの初級から、中級、ビジネスクラスまであり、iPad、iPhoneの使い方も教えてくれます。
 講座は基本的に無料ですが、本や材料が必要なものは有料です。
 ちなみに、コンピュータは1講座、住民は12ドル、住民でないと17ドル、50歳以上は9ドルです。
 子ども向けのプログラムで面白いなと思ったのは、5歳までの子どもを持つ両親向けのトイレトレーニングの講座です。この講座をとれば、数日でおむつがとれるだろうと書いてありました。また、8歳以下の子ども対象に、無料の映画会が水曜日、木曜日、土曜日にあります。8、9月は第1・第3金曜日にアニメが上映されます。第1金曜日は英語、第3金曜日は日本語で英語の字幕付きです。
 さらに、図書館では英語が母語でない人向けに、文法や読み書きの講座を設けているところがあります。シャンバーグでは初級と上級の2クラスがあり、各コースとも12週にわたり週2回、1回3時間の授業が、無料で行われています。テストがあり、その結果に応じてクラス分けが行われます。私の住んでいるグレンビューの図書館でも、週2回、1回3時間のクラスで13週間の講座が一つあります。これも無料です。
 図書館の英語クラスは、私にとって少しハードルが高いです。来季、オリエンテーションをうけ、様子を見てみようかな・・・・・・。
 プログラムを見ていて、これは市報「西東京」の図書館、児童館、公民館、NIMICからのお知らせと同じだなと思いました。シャンバーグ、グレンビューの図書館は地域の文化活動の中心的存在です。
 機会があれば、他の図書館にも行ってみようと思います。
 (グレンビュー自宅にて 白根 祐子)
 

 

 

 14回

 かぼちゃの楽焼
 10月のハロウィン、11月のサンクスギビングデイ、12月のクリスマスとこれからイベントが続きます。2年目の今年は、8月からハロウィングッズがお店に並んでいても驚かなくなりました。
 今年の我が家のハロウィングッズは、かぼちゃの楽焼が仲間入りしました。今住んでいるアパートの1階に「COLOR ME MINE」という名前の楽焼屋さんがあります。いつも外から見ているだけでしたが、親子連れや子供たちが、素焼きに色付けをしていました。季節ごとの作品も飾られ、楽しそうな雰囲気でした。
 素焼きの型を見ていたら、かぼちゃのカップやお皿、ろうそくたてなどがありました。今年はサンクスギビングに向けてオリジナルのグッズを飾ろうと主人と相談し、楽焼き屋さんに行くことにしました。
 主人は七面鳥、私は細長いかぼちゃを選びました。型の後は色選びです。一人5色まで。二人で10色選べるので、いろいろな色が使えます。私はかぼちゃだったので、5色で十分でした。
 絵の具の補充は随時してくれます。費用は絵の具、筆などの材料費を含む参加費大人一人10ドル、それに型代が加わります。
 いよいよ色付けです。なぜか二人とも無口になり、色付けに集中しました。心地良い沈黙です。私のほうが早く終わったので、周りを見回しました。向かいのテーブルには、おじいちゃん、おばあちゃん、おとうさん、4歳と2歳くらいの男の子。4歳の子がかぼちゃのお皿に色付けし、おじいちゃんたちが写真を撮っていました。
 隣のテーブルはおばあちゃんと孫2人でした。孫たちが、かぼちゃのカップとユニコーンに色付けしていました。
 ほかにも子供二人の家族連れや若い女の子2人組も来ました。
焼き上がりを取りに来ている人もいました。大人の二人連れは私たちだけでした。
 奥の方には、10個くらいカップが並べられているテーブルがありました。
 少しすると、風船を持ったり、プレゼントの箱を持った親子連れが入ってきました。子供たちはちょっとおしゃれをしています。お誕生日パーティーでした。コーヒーカップに色付けをして遊んでいる子供や、テーブルについてお菓子を食べている子もいました。作品がお土産になるわけで、招待した方もされた方もいい思い出になります。
 そうこうしているうちに主人の七面鳥の色付けも終わりました。
 焼き上がりは1週間後でした。今テレビの前でかぼちゃが笑っています。
  (グレンビュー自宅にて 白根 祐子) 

 

 最終回

 私のミラクル
 先月、MT. RUSHMOREに行ってきました。ワシントン、ジェファーソン、リンカーン、セオドア・ルーズベルト、4人の大統領の顔が彫られている山です。
 初日、夕方に行ったのですが、霧に隠れて見ることができませんでした。
 二日目も、朝から霧が出ていました。見られないだろうと、半分あきらめてインフォメーションセンターをぶらぶらしていました。
 ダメもとで外に出たら、霧が少しずつ晴れ、ワシントンの顔が見えてきました。「見えた!見えた!」と、周りのアメリカ人より感激し、写真を撮っている間に、4人みんなの顔が見えました。
 一安心し、ミュージアムに行き、出てきたときはまた4人は霧の中に隠れていました。写真でしか見たことのない大統領の顔の山。それを実際に見ることができました、しかも霧の流れる少しの時間に。
 私にとってのミラクルです。
 今はいろいろな海外ツアーがありますが、アラ還おばさんの私は、諸事情がありなかなか行けませんでした。それが思いがけない夫の転勤でアメリカへ。
 私のミラクルが始まりました。名前だけ知っているホワイトハウス。
 鉄格子越しですが見ることができました。娘と行ったナイアガラの滝。
イグアスの滝、そしてナイアガラの滝と、三大瀑布のうち二つも見ることができたと娘と喜びました。
 去年ニューヨークに行き、自由の女神を見た時も、ミラクルだと思いました。写真や映画の中だけの自由の女神。船で彼女のいる島に渡りました。島に近づくに連れて、テンションが高くなりました。冠まで登るツアーは満員でしたが、台座の上まで行くツアーに参加できました。
 彼女を見上げました。持っている石板やドレスのひだがよくわかりました。
自由の女神はこんなに大きく、きれいなんだと知りました。
 まだミラクルは続くかと思っていましたが、実は主人の仕事の関係で11月19日、日本に帰ることになりました。田無を通り越して、愛知県の半田市に住みます。1年4か月のアメリカ生活でした。
 もう少し英語をうまく話したかった、ライオンキングを見たかった等々心残りはありますが、振り返れば、短いけれど充実した時間を過ごしたと思います。
 NIMIC通信の寄稿も今回で最後になります。お付き合いいただきありがとうございました。
(グレンビュー自宅にて 白根 祐子)

 

 


 
 
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